私を悩ませていた「色がピンクになる問題」ついに終止符が打てそうです。Lの明度が高い場合に、LRGB合成で赤がピンクになること問題がありました。特に顕著なのはL画像にHαをブレンドしたときに発生します。
このらせん星雲も最も明るい部分がピンクになっています。ちなみにこれは周辺部にはHαをブレンドしていますが、ピンクになった部分はもとのLのままでHαのブレンドはしていません。Hαをブレンドした、しないにかかわらず、明度が高くて赤が強い部分はこうなってしまうのです。
先日のLRGB合成のお約束で解説したように、明度が高まると色は薄くなりますので、赤がピンクになるのは道理に合っています。しかしこうなってしまうともはやお手上げ。その後、あれこれ頑張ってもピンクのままです。
そうこうしているうちに、蒼月城さんがLRGB合成の動画を公開されました。
LRGBのコツをわかりやすくまとめられているこの動画、私が注目したのはRGBWorkingSpaceの使い方です(動画では25:54から)。RGBWorkingSpaceとはRGBからLを抽出するときの割合を指定する処理です。私は常にRGBを1:1:1に設定していました。しかしこの動画では「RGBの割合を変更することで、LRGB合成するときの色味を変えることができる。」とあります。
「な・な・なんですと!」
目から鱗です。RGBWorkingSpaceはLを抽出するときのRGBの割合を決定しますが、逆にLを置き換えるときにも有効というわけです。たとえばRの割合を大きくすると、合成時にはRの割合が小さくなります。抽出と合成は逆の方向なので、抽出時に大きい割合ならば合成時は小さくなるのですね。割合が小さいと明度が下がります。明度が下がると色は濃くなる!(こちらのYouTube動画をご覧ください)。
言われてみるとその通りですが、これは思いつきませんでした。早速やってみましょう。Rを強調しつつマゼンタっぽい色にするためBも強調しようと考え、RGB = 0.48 : 0.04 : 0.48です。
試行錯誤でこのパラメータにしました。実行してみます。
左から、既定値、通常やるRGB=1:1:1の合成、RとGの比率をあげた合成です。ピンクの問題が改善しています。彩度を上げてみましょう。
おお!これまでは彩度をあげるとどんどんピンクっぽさが増しましたが、一番右は赤くなっていきます。これならなんとかなりそうです。
最終形はこちらです。
前回までの処理は無理をして赤くするように努力しましたが、まだパステル調は残っていました。今回の処理はしっかり赤がのって気に入っています(完成版の画像はこちらを参照ください)。
RGBWorkingSpaceによるLRGB合成時のピンクの抑制。即戦力になりそうです。蒼月さん、素晴らしい動画をありがとうございます。