
前々回のコウモリに引き続いて動物シリーズ。スネーク星雲(Snake Nebula)です。正式にはBarnard 72といい、へびつかい座に鎮座しています。へびは神の使い。黄金色の天の川を背景に、とっても神々しい姿をしています。へびは脱皮を繰り返すので「破壊と再生」のシンボルでもあるそうです。
背景の星々が黄金色です。調べてみたところ、宇宙空間の塵などの影響で青い光が吸収されて赤っぽくなる「星間赤化」という現象とのこと。夕焼けが赤いのと同じ理屈ですね・・・と偉そうに書いたのですが、最初は画像処理に失敗したんです。この写真を撮影したのは7月なので2ヶ月も経っています。どうもパッとしない。何度やってもうまく画像処理ができませんでした。星沼会メンバーに相談したところ、M&Mさんが
「星の色を金色にすると豪華になりますよ」
とこちらの写真を見せてくれました。
「おお、これは黄金に輝く立派な天の川。あらー、そういうことかー」
私は背景色をニュートラル化(グレーにすること)処理をして、灰色にしちゃっていたのです。我らが天の川は黄金色! 処理をしなおして冒頭の神々しい蛇になりました。こんなところにM&Mさんと私の、天文キャリアや経験の差が如実に出た感じです。
宇宙は若い
天の川のことを調べていると、天の川の中心部の星々は100億年を超える年齢の星が多いそうです。太陽も50億歳くらいですね。太陽の寿命も100億年くらいといわれています。こういった話を聞いたりすると、いつも感じることがあります。それは、
「宇宙は若い」
ということ。星の寿命が100億年もある一方で、宇宙の年齢はまだ138億年です。もっと寿命が短い星もたくさんありますので、宇宙にはこれまで無数の星が生まれたり消えたりしていますが、これら100億年クラスの星はまだ第2世代か、第3世代くらいです。
たとえば我らホモ・サピエンスは誕生して20万年くらい経っていますので、平均年齢が50歳とするといまは4000世代。そう考えるとホモ・サピエンスは人間の一生に比べてとても昔に誕生した気がします。それに比べて宇宙は太陽の一生を考えると2−3世代くらいなので、とっても若くて最近誕生したばかりに感じるのです。
<撮影データ>
神々しい。スネーク星雲
2025年7月18日 〜 2025年7月28日
AG Optical 10″ iDK (250mm, F6.7)
Astro-Physics 1100GTO-AE
オフアキシスガイド ASI174MM Mini
ASI6200MM Pro
CHROMA LRGB, Hα Filters
■カラー画像
露出(すべて-10°C冷却, Bin1x1, Gain 100, Offset 50)
L: 300秒x93枚
R: 300秒x46枚
G: 300秒x33枚
B: 300秒x39枚
総露光時間 17時間35分
PixInsightにて画像処理
撮影地: チリ・ウルタド渓谷リモート撮影
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