BlurXTerminatorはL画像だけでなく、カラーにも適用したようがよいですよ!という記事です。
チリで使っている、FSQ-106Nは解像感も高くて色も綺麗に出る素晴らしい鏡筒ですが、色ずれを起こすのが頭痛のたねでした。周辺の星の色が放射状にずれるのです。
PixInsightでの位置合わせの際に歪みを調整してくれるStar AlignmentのオプションであるDistortion Correctionを試しても、効果はありませんでした。しかし、この問題についに終止符をうつくことができそうです。AIによって解像度を高めことで話題になっているBlurXTerminator (BXT)です。
BXTの使い方はYouTubeでも解説しました。
Deconvolutionの進化系であるこのツール。解像度に加えて、星の形や大きさの修正もしてくれます。これまでL画像に主に適用していましたが、今回、カラー画像にためしてみると色ずれの修正もうまくいきました。早速みてやってましょう。
左が元画像、右が新しいBXTです。見事に色ずれが修正されています。
実は、色ずれの改善とともにもう一つ効果がありました。
L画像のみにBXTをかける弊害
今回の画像はモノクロカメラによるLRGB合成で画像処理をしています。最初の画像はL画像のみにBXTを適用していました。高精細にしたいのはL画像だけと考えたからです。しかし、そうするとL画像の星像のみが小さくなり、カラー画像の星像は大きなままです。その結果、LRGB合成をすると星の周りが不自然に彩度が上がってしまいました。星の周りは、カラー画像には彩度の情報があるのに対して、L画像で輝度情報が低いため、彩度の情報が行き場を無くしたために彩度情報が異常になったのです。
よくみると一部のピクセルはグレーになってエラーを起こしています。これはL情報とRGBのL情報がかけ離れていたため、Lの値をRGBから作り出せない状態だったのでしょう。
そこで今回は、L画像に加えてカラー画像もBXTを実行しました。すると星の周りの異常な彩度上昇もなくなりました。
色ずれと不自然な彩度上昇の抑制のために、L画像だけではなくカラー画像にもBXTを実行するのが良さそうです。