燃え盛る炎から守られた竜の卵 – NGC 6164/6165

宇宙には不思議な形をした天体がたくさんありますが、この竜の卵星雲(The Dragon’s Egg – NGC 6164/6165)もその一つです。下からの激しい炎から青い巣のようなもので竜の卵を守っているように見えます。チリに設置した望遠鏡で撮影しました。地球から4,000光年離れており、さそり座よりさらに南に下ったじょうぎ座にあり、日本からは観測が困難なところにあります。竜の卵をとりまく特徴的な巣のような星雲は、通常のカラーフィルターでは写らなかったため、ナローバンドフィルターという特定の周波数だけ撮影する特殊なフィルターを使って撮影しています。

周囲を取り囲むガスは中央の星から放出されたものです。また外側の青いガスも、もっと前の初期の頃にこの星から放出されたガスです。

中央の星は一つに見えますが連星で、二つの星からなっています。

中央の連星

最近の研究によると元々は3連星だったものが、そのうち二つが合体して2連星になったという説が有力とのことです。

この星雲が竜の卵と呼ばれるのは天体の形にもありますが、もう一つ理由があります。すぐ近くに戦う竜(The Fighting Dragons)という星雲があるためです。2頭の竜が戦うそのすぐ近くに卵があるのです。The Finghting Dragonsはもっと大きな星雲で、この写真には写っていません。

竜か龍か?

ところで日本語の表記を竜か龍かどちらにするか、ちょっと悩みました。龍の方が東洋っぽい感じもします。調べてみたところ竜が新字体、龍が旧字体だそうです。そのため龍の方が由緒正しい感じもしますが、ややこしいことに漢字として存在したのは竜の方が先で、あとから背びれをつけて龍にしたそうです。つまりどっちでも良さそう。私の応援する中日ドラゴンズは「昇竜」「強竜」というように竜を採用しているので、竜にしました!

<撮影データ>
燃え盛る炎から守られた竜の卵 NGC 6164/6165
2024年5月6日 〜 2024年7月25日
AG Optiral 10″ iDK (250mm, F6.7)
Astro-Physics 1100GTO-AE
オフアキシスガイド ASI174MM Mini
ASI6200MM Pro
CHROMA RGB, SII, Hα, OIII Filters

露出(すべて-10°C冷却, Bin1x1, Gain 100, Offset 50)
 L: 300秒x118枚
 R: 300秒x80枚
 G: 300秒x92枚
 B: 300秒x78枚
 SII: 600秒x150枚
 Hα: 600秒x161枚
 OIII: 600秒x130枚
総露光時間 104時間10分

PixInsightにて画像処理

撮影地: チリ・ウルタド渓谷リモート撮影

#observatorioelsauce

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