返信先: WBPPとFBPPの違いについて

#20967
蒼月城
ゲスト

FBPP は、基本的には WBPP の Registration、Normalization、Integration の処理を FastIntegration に置き換えたものです。なので、主にはその部分に違いがあります。

FastIntegration は、1秒前後の短い露出時間で連続して撮影(”fast imaging”)されたデータを処理するために作られたプロセスで、以下のような条件が成り立つデータセットであることを前提に、従来のプロセスと比べて著しく高速化し、かつ画質もそれほど劣化しないように作られています。

a) フレーム間の位置ずれの量が小さい
b) 歪みの小さい光学系(非広角)で撮影されている
c) フレーム間で大きな勾配(光害)の変化が無い
d) 気象条件は全フレームでほぼ同じ

それを踏まえたうえで、FBPP が設定や機能の面で WBPP と異なる主な点を挙げると以下の通りになるかと思います。

・Registration/Astrometric Solution/Local Normalization/Integration に関する詳細な設定が不可
・Registration のアルゴリズムの高速化
・Registration reference の設定を “Auto” にすると、異なるリファレンスフレームが選ばれることがある
・Local Nomalization はやらない(普通のnormalizationで代替)
・Integration 時の rejection の適用方法が少し異なる(これによっても高速化を実現)
・前回実行時と同じデータセットを処理するときにキャッシュが効かない

重み付けや Astrometric Solution、Cosmetic Correction、そして drizzle は、最新版(FBPP1.1.0/WBPP2.7.5)では両者ともに選択実行できるようになっていますし、Calibrationフェーズでやることはほぼ変わらないはずです。上記 a) ~ d) を満たす fast imaging のデータセットであれば、Local Normalization の有無も画質にそれほど大きくは影響しないでしょう。

しかし、上記 a) ~ d) を満たさないデータセットを処理するときには、WBPP と比べて高速化される反面、画質の面で大きく劣化する恐れがあります。とくに、reigstration に失敗するフレームが多くなると画質が劣化しますので、FBPP で前処理したいのであれば、なるべく上記の条件が揃ったデータセットを使うときに限定した方が良いでしょう。また、rejection のやり方を考えると、人工衛星の軌跡なんかも、FBPP だと薄っすら残ることがあるかもしれません(大丈夫かもしれませんけど)。

そういったことに注意する必要があるかと思います。

 

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