「天の川って撮影できるの?」と聞かれたことがあります。シャッタースピードと絞りを変更できるカメラがあれば、撮ることはそんなに難しくありません。今回は、初めての人でも簡単に天の川が撮影できる方法をお伝えします。
<用意するもの>
- カメラ: 露出設定できるカメラ。シャッタースピードと、できれば絞りの変更ができるとよいです。
- レンズ: レンズ交換式のカメラの場合、可能ならなるべく広角なレンズ。APS-Cの場合に16mmくらいなら広くとれますが標準レンズでもOKです。上記の写真はAPS-Cの10mmです。
- 三脚: 必須です。
- レリーズ: あれば便利ですが無くても大丈夫です。
天の川の位置の確認と撮影場所の決定
最初に天の川が何時にどこに出ているか確認します。日本からですと夏のいて座の方角が最もゴージャスな天の川が見られます。これは銀河の中心がいて座の方角だからです。でも夏でなくても春でも明け方近くは天の川を見られますし、冬のうっすらとした天の川も綺麗です。上の写真ですと、明るい星の右の方の木にギリギリ見えているのがいて座です。よく見るとひっくり返った南斗六星を見つけることができます。この写真は天の川の一番ゴージャスな部分は木で隠れちゃってます・・・。
天の川の場所の確認は、スマホアプリが便利です。「星座表」などのアプリを使うと、設定した時刻にどの方向に天の川がみえるかわかります。
撮影場所はぶっちゃけ空が暗いところならどこで良いです。私はLight pollution mapという光害がわかるサイトとGoogle Mapをにらめっこして場所を探しています。また天の川のある方向に東京などの明かりがない方が良いですね。
ちなみに肉眼ではこんなに天の川は見えません。とてもよく見えるところでも、うっすらと雲かなというレベルです。人間の目は暗い光にそれほど反応できないのと、暗いところでは色が識別できなくなるためです。
カメラの設置
現地に着いたら三脚とカメラを準備します。山や建物など少しいれて良い感じの写真になるように、それも意識して場所を決めます。カメラは水平にするようにしてください。斜めに撮ってしまいますと、あとでトリミングしてまっすぐにしなければいけなくなります。
ピント合わせ
ピントはマニュアルモードにして、手動であわせます。星であわせるときは、どの向きでも良いので明るい星を見て、ピントを調節し、星が一番小さな点になるポイントを探します。液晶画面の拡大表示を使うと便利です。私は周りに何も無いときは星でピントをあわせますが、建物や遠くの明かりがあるときは、それであわせるようにしています。遠くに合わせれば良いので、星でなくても大丈夫です。
一度合わせたピントは、変えなくても大丈夫なので、テープでぐるぐる巻いて固定しています。厳密には温度の変化など影響がありますが、そこまで厳密でなくても良いと思います。
カメラの設定
次のように設定します。
- ISO: 3200〜6400くらい。
- 絞り: なるべく小さい数字にする。そうすると絞りが開いて光がたくさん入ります。
- シャッタースピード: 30秒程度。それ以上は自転の影響で星が流れてしまいます。
これであとはシャッターを押すだけです!
ちょっと小技。人やモノを入れるには
まわりの山や建物は通常真っ黒に写ります。近くの人やモノを一緒に写す場合には光を当てるのが有効です。iPhoneのライト機能や懐中電灯などで、1秒ほど光を当てると一緒に綺麗に写ります。上記の写真も1秒当てています。また天体写真にあるサボテンや天体ドームも光を1秒程度当てました。
人もそれで写るのですが、大概の場合、真っ暗な中でいきなり人は光をあてると目をつぶります。私も写してもらったとき光が当たるとわかっていても、やっぱりつぶってしまいました。
画像の処理
撮影した写真は、画像処理ソフトで仕上げるとより綺麗になります。上記の写真も街の明かりで明るくなりましたので、Adobe Lightroomを使って少し暗く、色温度も青めに仕上げました。写真を撮った直後はこんな感じでした。車の青にあわせたのですが、ちょっと空の色を青くしすぎたかもしれないですね。
<撮影データ>
Fujinon XF8-16mmF2.8 R LM WR (f10mm F2.8)
Fujifilm X-T30 (ISO 6400)
LEE ソフト#3フィルター
露出30秒
Adobe Lightroomにて画像処理