ビジネスで最初に目標を定めることを「ノーススターを探せ」などと言います。動かない北極星を指針にブレないようにしようということなんでしょう。
しかし、私はこれには心を痛めているのです。西洋の皆さんはそれで良い。日本もまあ良い。しかし、チリやアルゼンチン、オーストラリアの人はどうなるのか?南半球の住人は目標を見失ってしまうのか?
・・・というわけで南天オールスターズです!
ちょうどこの写真の真ん中が天の南極、つまり南の動かない点です。そこを中心に時計回りで空が回転します。チリで、左の大小マゼラン雲が昇ってきて、右の南十字星が沈むところを撮影しました。
実は南の空には北の北極星にあたる明るい星はなく、近くにはちぶんぎ座という地味な星座があるだけです。星に頼らず目標は自分で探そう、ということでしょうか。
「はちぶんぎ」というのは天体などの測定器具だそうです。北天は、オリオン座、ヘラクレス座、ペガスス座など神話にでてくる皆さんが登場しますが、北天は、コンパス座、けんびきょう座、ぼうえんきょう座など、なんじゃそら、という名前の星座が多くあります。北天はヨーロッパの人が古くから命名したのに対して、南天はコロンブス、マゼランらの大航海時代に船員が見慣れない南の空の星の並びを見つけて、手元にあった道具の名前を雑につけたから、と言われています。
ちなみに冒頭で北極星は動かないと書きましたが、ぴったり地軸の向きにあっているわけではなく、実はちょっとずれていて回っています。望遠鏡をセッティングするときは地軸にあわせるのですが、北極星にあわせると少しずれてしまうので、微妙な修正をしています。また歳差運動といって、地球は2万5000年周期で止まりかけのコマのように首振り運動をしているので、毎年、北極星は地軸の向きに近くなってきています。望遠鏡設定時はそれも頑張って修正しています。
<撮影データ>
サボテンに挟まれた南十字星
2019年7月3日3時
Fujinon XF8-16mmF2.8 R LM WR (f16mm F2.8)
Fujifilm X-T30 (ISO 4000)
LEE ソフト#3フィルター
露出30秒
Adobe Lightroomにて画像処理
撮影地: チリ・ウルタド渓谷