肉眼や望遠鏡の眼視でずっと見てきた憧れのアンドロメダ。ようやく季節が巡って楽しめる時期になりました。遠征して撮影してきました。30秒露出しただけの1枚撮りでも、カメラの液晶画面に飛び込んできた勇姿はスケール満点。感動を覚えます。
この日は網状星雲とアンドロメダを撮って終えました。翌日の夜のこと。いつものように極軸合わせの後、天体導入をしようとしたところ、若い夫婦に声をかけられました。
「何か見せていただけませんか」
さて、どうしよう。私の望遠鏡は撮影専用で眼視はできません。しかし、期待にも応えたい。ふと見上げると天頂近くにアンドロメダが光を放っています。
(これいいかも・・・)
赤道儀のクランプを緩め望遠鏡をアンドロメダに向けさっと一枚撮影し構図を調整。見やすいように外部ディスプレイとカメラもHDMIケーブルでつなげました。これでオッケー。
「アンドロメダ銀河を撮影しますね」
そう言ってレリーズを押す私。3人でディスプレイを覗き込みます。画面に現れるカメラのカウントダウン。高まる期待。
29… 28… 27… 26… 25…
(やばい、ちと緊張してきた・・・)
05… 04… 03… 02… 01… カシャ!!
露出が30秒終わり、少したってからディスプレイにどーんとアンドロメダの勇姿が!
「おお〜」
「すっごっ〜い」
「250万年前の光なんですよ」とドヤ顔の私。それから空を見上げ、カシオペアからミラクを経由してアンドロメダを見つける方法を伝えます。
「あ、わかった!」
「え〜どこ? あのぼやっとした光かなぁ?」
「直接見ずに少し視線をずらすとよく見えますよ。私は白目で見ると呼んでいます。」
「ホントだよく見える」
再度、ドヤ顔の私。
こうなると、もう止まりません。その夜は撮影を中止して星空の説明をしまくりました。
推し星座の可愛いイルカ座
天の川をはさんで織姫と彦星
銀河の中心のブラックホール
流れ星で体感できる地球の公転
いて座の南斗六星
ペガスス座の四角形の中の星の数
昇ってきたおうし座のV字顔
・・・
結局、3時間近く喋ってました。その楽しかったこと。
撮影を始めてから、空を見ずに液晶画面ばかり見ていた気がします。星空を眺める楽しさを思い出した夜でした。
<撮影データ>
2020年8月19日0時44分12秒〜
BORG 72FL + 7872レデューサー (288mm, F4)
Fujifilm X-T30
露出 60秒x122枚コンポジット (総露出2時間2分)
ISO3200
Unitec SWAT-310-Vspecでノータッチ追尾
PixInsight, Adobe Lightroomにて画像処理
撮影地: 高知県天狗高原