ZTF彗星がやってきています。ネットでも彗星の画像が花盛り。盛んに投稿されています。
PixInsightを使った彗星の画像処理については以前に投稿しました。YouTubeもあります! 彗星の画像処理が難しいのは、彗星には動きがあるので彗星を固定すると星が流れ、星を固定すると彗星が流れてしまうことです。そのため彗星のみの画像と星のみの画像を別々に作り、合成する手法がよく採用されます。私の記事でもその手法を解説していますが「彗星のみ画像を作ろうとしたが星が残ってしまう」というご質問を何人かの方からいただきました。以前に解説した方法はImage Integrationをする際に、Pixel Rejectionの機能を使って星を消しました。しかしこの方法では少し残ってしまう場合があるようです。
今回はImage Integrationの際に星を消すのではなく、撮影した各コマから星を消し、彗星のみ画像をつくる方法を解説します。星を消して彗星のみになった各コマをComet Alignmentによって彗星の位置合わせし、Image Integrationすると彗星のみの画像が完成します。
今回は、無料のStarNet2と有料のStarXTerminatorを使う方法を解説します。また、この処理は彗星の画像処理の記事の「Comet Alignmentによる彗星の核基準での位置合わせ」の前に実施します。
StarNet2を使う方法
最初は無料のStarNet2を使う方法です。StarNet2をインストールしていない場合は、こちらからダウンロードしてインストールしてください。
ここでは複数の画像を一括してStarNet2で星を消します。ProcessメニューのImage Containerを起動します。
星を消したい彗星の画像を読み込みます。通常は位置合わせ済みのデータを読み込みます(実はComet Alignmentの機能強化により星による位置合わせしていなくても良くなりました。しかしいくつか注意点があるので、今回は位置合わせ済みの画像を読み込むことにします)。Output directoryに出力先を指定します。
Processメニューの<All Processes>からStarNet2を起動します。StarNet2が起動したらLinear dataをチェックし、次にImage Containerの▲をStarNet2の下の部分にドラッグ&ドロップします。
すると読み込んだ各画像に対して処理がスタートします。一枚ずつ処理をしますので時間のかかる処理です。終了するとOutput Directoryの下に星消し処理が実行された画像が出力されます。
この後はこの画像を使って、彗星の画像処理の記事の「彗星の画像処理のComet Alignmentによる彗星の核基準での位置合わせ」にすすみます。
リリアの画像を使っているので、少し星の消した痕跡や消し残しが残ってしまいますが、これだけ消えていれば、この後のImage Integrationを実行時のPixel Rejectionにより、ほぼ問題はなくなります。
StarXTerminator(SXT)による処理
もう一つの方法は、有料のStarXTerminator(SXT)を使う方法です。リニア画像の星消しは現時点ではSXTの方が強力で、完全に星を消すことができます。SXTはこちらから購入可能です。
StarXTerminatorをインストールしたら、ProcessメニューのMask Generationの下のStarXTerminatorを実行します。
右下のProcess Batchボタンを押します。ウィンドウが起動したら出力先を指定します。
次にSelect Input Files and Executeボタンを押し、画像ファイルを読み込みます。
OKボタンを押して実行します。
処理が終わるとOutput starless file toで指定したフォルダに画像が出力されます。
StarNet2では星の痕跡が残っていましたが、SXTは完璧に星が消えています。この後はStarNet2と同じく彗星の画像処理の記事の「彗星の画像処理のComet Alignmentによる彗星の核基準での位置合わせ」にすすみます。
いかがでしたでしょうか。今回はStarNet2やSXTを使ってより高品質に「彗星のみ画像」を作成する方法を解説しました。ぜひご活用ください。