エンゼルフィッシュみたいな星雲 SH2-63

エンゼルフィッシュみたいな星雲 SH2-63

みなさま、あけましておめでとうございます。今年もたのしい天体観測をよろしくお願いします!

私にとっての書き初めは画像処理。ということで新年一発目の天体は、SH2-63という星雲です。子供の頃に飼っていたエンゼルフィッシュみたいで可愛い。いて座の方向に位置します。一酸化炭素(CO)などからなるガスやチリから構成されている分子雲で、まわりの恒星に照らされて淡く光っています。地球からの距離は1000光年以内の比較的近くに位置します。

「ん?いて座? いて座は夏の星座じゃないの?」

と思った方は、普段から星をよく見ている方。するどい。そうなんです。いて座は天の川のど真ん中。さそり座近くにある夏の星座なんです。リモートで撮影したこの写真も9月には撮影を終了して、それからずっと放置していました。こういうシンプルな星雲ほどあんがい画像処理が難しくて、良い処理のアイデアが浮かばずほったらかしだったんです。

しかし時は2026年正月。一念発起して処理してみました。今回は、いままでの私が食わず嫌いでやらなかった処理方法を試しています。具体的には「Unsharp Mask」と「星と天体の分離処理」それから「淡い部分の持ち上げ」です。これまで近寄らなかったのは、不自然になってしまうのが怖かったからなんですね。初めてにしては、うまくいったんじゃないかって悦にいっています。

天体写真の画像処理は、元の素材のポテンシャルをどこまで引き出すかが一つのポイントになります。私はこれまで、かなり控えめな処理をしてマージンに余裕を持たせていました。破綻のリスクを避けられますし、見た目にも無理のない仕上がりになるからです。「高音が4オクターブ出る歌手が2オクターブで歌うような(ちはやふる 35巻)」もしくは「小さな声で歌いなさい(中島みゆき)」という世界観。

しかし、私は思ったのですよ。ちはやふるや中島みゆきの抑制を効かせたそれとは違って、私のは単に逃げているだけではないかと。また別の理由もあります。昨年、私は国内遠征で撮影した天体の画像処理の楽しみを再発見しました。臨場感が楽しい。しかしミスが多い私ですから一晩の撮影時間は他の人の半分くらいになります。ミスを減らせば良い話ですが、それは撮影の実力だからそう簡単にはいかない。そこで素材はある程度の品質で納得して、マージンを少なく攻めた画像処理にチャレンジしたいということもあります。

「最終的な品質は、元の素材を超えることができない」とよく言われますが、デジタル技術の発達したいまなら、なんなら「元の素材のポテンシャルを超える」こともできるのではないか、って気もしています。そのためには、AIだってどんとこいです。

おりしも、いま忍たま乱太郎の「勇気100%」がテレビで流れていました。そんなやけに力の入ったお正月です。本年もよろしくお願いします。

<撮影データ>
エンゼルフィッシュみたいな星雲。SH2-63
2025年8月21日 〜 2025年9月14日
AG Optical 10″ iDK (250mm, F6.7)
Astro-Physics 1100GTO-AE
オフアキシスガイド ASI174MM Mini
ASI6200MM Pro
CHROMA LRGB, Hα Filters

2枚モザイク・・パネル1と2で露光時間がずいぶん違うのは、うっかりミスという事情です(笑)
露出(すべて-10°C冷却, Bin1x1, Gain 100, Offset 50)
(1パネル目)
 L: 300秒x74枚
 R: 300秒x36枚
 G: 300秒x36枚
 B: 300秒x30枚
 LRGB 露光時間 14時間40分
(2パネル目)
 L: 300秒x26枚
 R: 300秒x12枚
 G: 300秒x10枚
 B: 300秒x6枚
 LRGB 露光時間 4時間30分
2パネル総露光時間 19時間10分

PixInsightにて画像処理

撮影地: チリ・ウルタド渓谷リモート撮影

#observatorioelsauce

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