2020年11月に撮影した馬頭星雲の画像の再処理をしました。写真を公開してからいただいたアドバイスや、新たに得たPixInsightのテクニックを活用しています。再処理前と後を比較してみます。
かなり良くなっているとは思います。でもまだかぶりが残っていて上手くいっていない部分がちらほらあります。また、こういったものは時間が経つとどんどん粗が見えてきて、また見直したくなるのでしょう。個別の画像も掲載しておきます。再処理後がこちらです。
元の画像はこちらです。
今回、次の3つのポイントで見直しをしました。
- かぶりの除去する
- カラーバランスを整える
- ノイズリダクションを薄くする
それぞれ、どんな視点で再処理をしたか、説明をいたします。まずはかぶりから。
かぶりを除去する
DBEが上手になったことで、その後の処理が随分と楽になりました。かぶりはいくつかの副作用をもたらしていました。ひとつめは背景がむやみに赤くなるなど、全体のバランスの悪さです。
もう一つ、見逃せないのが画像処理の途中で情報を失うほど切り詰めてしまっていたこと。かぶりの補正をしようとあれこれしているうちに、HistogramTransformationなどで情報をカットしてしまった可能性があります。再処理前の画像をRGB分解してみてみます。R画像をみると、右上の情報が明らかになくなってしまっています。
かぶりのある画像をなんとかしようとしているうちに、情報を落としてしまったものと思われます。修正後の画像も改善こそすれ、とくにR画像にまだかぶりが見られます。これはフラットの問題もありそう。フラットは別の対策を講じており、形になってきたら記事にしようと思います。
カラーバランスを整える
正直に告白すると私はカラーバランスということを意識せずに画像処理していました。なんとなくGoogle画像検索で他の方の画像を見た後は自分の感覚でノンリニア処理を続けていたのです。次のような改善をしました
(1) 多くの画像を確認する
AstroBinなどで評判の良い画像などを数多く目にし、まずは世の中でスタンダードとなっている配色を確認しました。
(2) HistogramTransformationでRGBをそろえる
ストレッチ後の画像について、RGBの3つの山の立ち上がり位置、ピーク位置、山の幅を揃えるようにしました。少なくともRGBが揃っていると端正な画像にはなります。その後のノンリニア処理でだんだんRGBがずれてきますが、初めにいったんRGBをそろえることで基準を設けるようにしました。「では大騒ぎしたPCCはなんだったんだ」と問われると心が痛みますが、それはおいおい考えます。
(3) 背景や星の色に気をつける
RGBを揃えた後に処理を進めるにつれて、またRGBはずれてきますが、背景や星はマスクを多用して、あまり影響を与えないようにしました。星の色はそのまま保ちたい。また背景もやはりニュートラルグレーのままを保ちたいのです。
ノイズリダクションを緩和する
先日の記事で記載したように、ノイズリダクションのかけすぎ問題がありました。とくにTGVDenoiseはパラメータの少しの違いで効果が大きく変わります。Previewを使って何度もパラメータを試しました。
上記の3つのうちかぶりとノイズはわかりやすいのと、技術の向上でなんとかなりそうです。しかし難しいのがカラーバランス。正解がわからないのと、あっちをとればこっちが立たず。まさにバランスに苦しみます。でも意識をし始めただけでもずいぶん違うのだと思います。
試行錯誤は続きます。