ちょうこくしつ座の渦巻銀河 IC5332です。
こちらに顔を向けているフェイスオンの端正な形をした渦巻銀河で、地球からは3,400万光年はなれています。中心が丸く、そこから2本の渦巻く腕が伸びているザ・渦巻銀河という銀河です。
上の写真はトリミングをしています。トリミングしないと周りにたくさんの銀河が写っています。
銀河のデータベースと照合してみました。
13億光年離れた銀河がたくさん写っています。また、よく見ると名前が載っていない銀河もたくさんあります。
IC5332は直径が5万光年くらいで、我々の住む天の川銀河の半分くらい。そんなに大きくない中規模の銀河ですが、地球からの距離が3,400光年で比較的、近くにあるので大きく写すことができました。
苦戦続きの画像処理
この渦巻銀河。撮影は1ヶ月前に終了していたのですが、画像処理に苦戦してやっと公開できました。
天体写真は撮影してから画像処理という作業があります。画像処理ではベースとなる処理に加えて色味、コントラストなどを調整していきます。天体写真は機材や撮影方法だけではなく、画像処理の方法によっても最終的な作品の印象が大きく変わります。目に見えない対象を相手に撮影しているため、個人の嗜好や感性も大きく影響するのだと思います。
今回は典型的な渦巻銀河で、私にとってはどちらかと言えば得意なジャンル。画像処理する前から「ちょいちょいとやれちゃうよ〜」とたかを括っていたのですが、全然うまくいかない。2度ほどトライしたところで放置もしました。典型的な渦巻銀河であるからこそ、やる前から「こんな感じだろう」と完成形のイメージが強く頭にあって、そのイメージとのずれからコレナジャナイ感がでてしまったのだと思います。ひーひー言いながらようやく完成したのが冒頭の画像です。
工夫した一つ目は、必要以上に腕のコントラストを上げないようにしました。この銀河は腕をくっきりさせると絵のようになってしまうのです。もう一つはいわゆる赤ポチをあまり入れないようにしました。銀河を撮影したときHII領域と呼ぶ赤い粒々を強調するために、Hαという近赤外線フィルターで撮影した画像をブレンドすることがよくあります。これを入れすぎるとやっぱり絵のようになっていまいました。今回はHαの画像はほんの少しだけのブレンドにとどめました。
そんなこんなで完成しましたー。ご鑑賞ください!
<撮影データ>
難産でした・・・渦巻銀河 IC5332
2024年8月11日 〜 2024年9月6日
AG Optiral 10″ iDK (250mm, F6.7)
Astro-Physics 1100GTO-AE
オフアキシスガイド ASI174MM Mini
ASI6200MM Pro
CHROMA LRGB, Hα Filters
露出(すべて-10°C冷却, Bin1x1, Gain 100, Offset 50)
L: 300秒x390枚
R: 300秒x116枚
G: 300秒x126枚
B: 300秒x105枚
Hα: 600秒x126枚
LRGB露光時間 61時間25分
総露光時間 82時間25分
PixInsightにて画像処理
撮影地: チリ・ウルタド渓谷リモート撮影
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