夜露にしっとりプレアデス 〜 東工大天文部の学生さんと遠征しました

夜露にしっとりプレアデス

福島の布引高原で撮影したすばるです。タイトルも「すばる」と書きたいところでしたが、字足らずでプレアデスです。この夜は曇ったりガスったりの繰り返し。そんな中、突如として空がクリアになり星がきらめく瞬間がなんどもありました。不透明な空から透き通った空に移った感動を少しでも残すべく、なるだけクリアな感じに仕上げてみました。あの時の夜空の雰囲気が出たかなって気に入っています。

天文部の遠征に同行しました

この夜は東工大の天文部の遠征に、星見屋店長の南口さんとご一緒させてもらいました。気分は大学生♫ 東工大の皆さんとは画像処理の勉強会でお付き合いがあります。昨今の事情から天文部の公式なイベントは開催できなかったので、多くの1、2年生にとっては今回が初めての遠征とのことでした。

・・・となると責任重大な部長さん。遠征地の選定に力が入ります。しかし天気は思わしくなく各種天気予報もバラバラ。候補地はギリギリまで決まりません。土曜日もお昼を回りタイムリミットを迎え、ついに決断の時がきました。

 「布引高原になりました」

よっしゃー。いくぜー。とGoogle Mapで場所を確認し、一路、福島に向かいます。今回、観測が初めての方が多いとのことでしたので眼視用のVixen反射望遠鏡も車に積み込みました。

現地到着したのはすっかり暗くなった19時くらい。すでに学生さん達がきています。天文部の13名に加えて、私と遅れて合流する南口さんの15名の大所帯でした。

東工大天文部のみなさんと
東工大天文部のみなさんと

天気は晴れたり曇ったりでしたが、今日はもともと撮影よりも眼視を楽しもうと思っていました。雲の切れ間から見られるので、それほど問題ありません。雲の切れ間から星ぼしを眺めて楽しい夜でした。土星、木星、すばる、アンドロメダ銀河と初めての方の必須科目を順に見ていきます。

東工大の天文部は眼視用の機材がとても充実しています。宮内双眼鏡という貴重品もありました。双眼鏡というより望遠鏡が二つならんだような機材です。両方の目で見るオリオン大星雲やアンドロメダ銀河は素晴らしいの一言。そんな中、ふと目を見やると30cmのドブソニアンが放置されています。聞けば前日に部長が気合を入れて主鏡を洗った結果、光軸があわなくなったそうです。私にもお手上げ。どうしたもんかと思っていると、ちょっと遅れて合流した星見屋店長の南口さん、颯爽と登場です!

 「じぇんじぇん、見えません」
 「どれどれ」

さすがプロ。真っ暗な中で主鏡を調整して見えるようにしてくれました。ドブは見え方もさることながら、その大きさから満足感が高くて楽しいですね。

ペガスス座でなんと・・・

一通り天体を見たら次は星座です。天文ファンでも星座に興味を示さない方も多いですが、星座は面白い!星座を知るとたんなる星空が生き生きと動き出す感じになるのです。私は天体撮影を始めるまでは、ひたすら肉眼で空をみてきた星座好きです。

この時期の私の推し星座はいるか座とふたご座。両方とも可愛いんです!いるか座は地味ですが、一度、認識するとあのちっちゃなひし形がずっと目に入るようになります。ふたご座も可愛い。青とオレンジのカストルとポルックスの双子の兄弟も寄り添っている姿が想像できます。そうなると、星座好きは止まりません。ぎょしゃ座の五角形、おうし座のV字と続きます。オリオン座だけではもったいないと思うんですよね。ペガスス座の四角形も大きく見えています。ここでペガスス座の鉄板のネタを。

 「ペガスス座の四角形の中に星が5-6個見えていますね。もっと暗いところでは10個近く見えるんですよ」
 「あ〜、あれですね。ほんとだ。中に15個くらい星が見えます」
 「ん・・・? あの四角形ですよ」
 「私もすごいたくさん見えます。10個以上あります」

 (マジすか・・・)

来ました! 眼視は若いうちにしておけ問題! 若い目には6等星まで見えているようなのです。若者の頭上には、私の3倍近くの数の星が輝いているとは・・・。私の目には天体観測向けの最強のコンタクトレンズが入っています。検眼時に「これでは近くが見えなくなりますよ」と言われ「近く、見ないっす」とゴリ押しで作ったコンタクトレンズです。しかし最強コンタクトをもってしても若者の目にはかないません。しかたがないので、私は双眼鏡など機器の力を借りて楽しむとしましょう。

この夜は、星の光をたくさん浴びて帰ってきました。東工大の皆様、南口店長、ありがとうございました。また一緒にいきましょうね。

<撮影データ>
■夜露にしっとりプレアデス
2021年11月6日23時37分50秒 〜 11月7日4時06分51秒
BORG 72FL + マルチフラットナー7108 (400mm, F5.6)
ASI294MM Pro 
Astrodon LRGB Gen2 E-Series Tru-Balance Filters
露出(すべて-10°C冷却, Bin1x1, gain 0)
 L: 120秒x36枚
 R: 120秒x8枚
 G: 120秒x11枚
 B: 120秒x12枚
総露出時間: 2時間14分
Unitec SWAT-350-Vspec Premium
QHY5L-IIM/ミニ・ガイドスコープ + PHD2
PixInsightにて画像処理
撮影地: 福島県郡山市 布引高原

タイトルとURLをコピーしました