チリ・リモート 〜 共同利用の可能性

観測所付近の風景
観測所付近の風景

先日のチリ・リモート観測所の募集は、たくさんの反響をいただきました。ありがとうございます。

「日本の天文ファンにチリの夜空を堪能してもらいたい」という思いは、私がチリのリモート撮影を始めてすぐの頃からありました。昨年に天文ガイドで最優秀をいただいたときの手記にもひっそり書いています。1年経ってようやくご案内できることができるようになりました。

天文ガイド2021年9月号より

自力で観測所を建設する労力より低いとはいえ、月当たり6万円の費用は安いものではありません。多くの方にとって共同利用が現実的な選択肢の一つかと思います。今回は共同利用の可能性について考察したく思います。

どれくらい撮影できるのか?

共同利用するメンバーが多いほど、一人当たりの利用時間が減っていきます。自分がどれくらい使えるかは最初に気になることと思います。この表をご覧ください。

年間の観測可能時間
年間の観測可能時間

本観測所は平均して年間に2,800〜3,000時間の観測可能時間があります。
(「観測可能時間」は下記の条件にあった時間を累計しています)

  • 風速: 5m/s未満
  • 突風: 6m/s未満
  • 湿度: 80%未満
  • 結露センサーがfalse
  • 露点が周囲温度より5度以上低い
  • 太陽の位置が地平線より15度以下
  • 星の光量が7.5$mag/arcsec^{2}$より大きい
  • 空のIR温度が-25度より大きい

昨年の実績の3000時間を例にとると、5人で共同運営した場合は、一人当たりの撮影時間は年間で600時間になります。月当たりでも50時間です。月が無い時間に限っても25時間を確保できます。

また観測所のあるエリアは6月〜7月など冬の間は天候が悪い日もありますが、冬は夜が長いので月ごとの観測可能時間は年を通して一定で、年間を通して安定的に共同利用が可能です。

一晩の平均観測可能時間

そんな魅力的な共同利用も、課題はたくさんあります。

共同利用の課題

複数で利用する共同利用ですから、ルールを決めておくことは重要と考えます。とくにみんながやる気になっている最初の段階で、やめるときのことなどを取り決めて、規約のような形で文書化しておくことは大切でしょう。私もみなさんに参考にしていただけるよう規約の雛形の準備中です。

現時点で決めておいた方が良いと考えているのは、次のような点です。まだ詰めていくに従って増えるように思います。

  • チームを抜ける時のルール
    長く続けている事情により続けられなくなることがあります。抜けるときの通知の仕方、保有機材の権利、他のチームメンバーへのコスト増加をどう吸収するか、など
  • 終了時のコスト負担
    リモートの運用を終了するときに日本に機材を送り返す場合の費用、機材の売却などの取り扱い方針、その他撤収時にかかる費用負担の考え方など
  • 機材の更新や故障時の対応
    機材を新しくしたいときや故障時の決定方針、コスト負担など
  • 利用時のルール
    平日、土日などふくめてどのように利用時間をふりわけるか、曇った日の補償をつけるか、誰も利用していない時間の使い方、など
  • 新規メンバーの加入方針
    新たなメンバーが加入するときのルール

チームの運営方針やルールをしっかりきめて、楽しみながら長く続けることができるようにしたいですね。

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