チームプレイをたのしむ 〜 天文ガイド 2021年8月号ビギナーに掲載

M83 南の回転花火銀河 – Photo by AstroCHL2JPN

先日、撮影したM83が天文ガイドのビギナーの部に掲載されました。

「天体写真家を名乗るのにビギナーとは何事か!」との声が聞こえてきそうですが、Wikipediaによれば写真家とは「主に写真を撮影もしくは製作することを生活の中心にしている人」とのこと。それなら自信があります。ていうか、私の周りの天体友だちは例外なく写真家です。

掲載は嬉しかったものの、ちょっぴり残念なこともありました。今回の投稿は私個人ではなくて、チリの友人2人あわせた連名で応募しました。撮影、画像処理は私が担当しましたが、現地での機材の設営やメンテはチリの友人がしてくれています。チーム名もAstroCHL2JPN。チリと日本のつなぐ感じがしていて気に入ってます。雑誌への掲載は私の個人名でした。アマチュアとはいえ撮影者を明確にした方が良いという天文ガイド編集部の配慮かもしれません。コメントにはありがたいお言葉とともに「最優秀作品候補でした」の文字。これは嬉しい・・・けど、大チャンスを逃したか?最優秀賞の作品を見ると、とてつもない水星のナトリウムテイルでした。これは編集部でなくても天文ファンなら喝采を送りたくなります。

チームプレイの魅力

今年はチームプレイにこだわっています。チリのリモートは共同で設備を運営する楽しみがあります。ほぼ毎日のようにチャットしながら続けていくことがとても楽しい。

私にはもう一つチームプレイがあります。それは先日の友情の北天分子雲。このときは全然、分子雲が撮れていなくていじけていたのですが、だいこもんさんとぐらすのすちさんが画像提供してくれて混ぜてみたところ、まあ楽しい。あら楽しい。ほんとに楽しい。ルンルン気分で画像処理をしたのです。その後、そーなのかーさんも画像を提供してくださいました。何が楽しくさせているか考えてみました。

まず焦りというか競争心というか、そういう感情がなくなりました。天体写真はクリエイティブな活動なので、他人と比較して「あんなに上手に撮れないな」と凹んだりしてしまいます。また「いいね」が気になってついつい彩度を上げてしまうこともあります。でもみんなで混ぜてしまうとそういう感情は無くなって、すっきり純粋に楽しむことができました。これは不思議。煩悩が減ります。

もうひとつは、まったく異なる位置、異なる場所から撮影した画像を混ぜ合わせられる不思議さです。天体という数百万年単位で変わらない対象を、みんなでせっせと撮影しているのだなって実感できました。

画像処理のときに、あーでもないこーでもないと議論できるのも魅力です。正解のない画像処理ですから、他の人が処理した画像は「ちょっと違うかな」と思ったとしても指摘しにくいもの。どこかに忖度が入っちゃいます。しかし自分の画像なら話は別。「ここをこうすべき」とか「ちょっとコントラストきつすぎ」とか言える気がします。画像処理はやっぱりツッコミ合うことで上手になるので、みんなで上手になっていくことは魅力です。

もともと天体観測・撮影は個人で作業する時間が多いもの。満天の星のもと、一人でいるときも満喫しつつ、しかし同時にチームでの活動も楽しもうと思います。そんなわけで、今年はチームプレイ元年です。

タイトルとURLをコピーしました