銀河団と聞いて思い出すのは春のお楽しみ「おとめ座銀河団」。銀河団は南天にもあります。その一つがオリオン座の南の方に位置する「ろ座銀河団」です。宝塚歌劇団を想起させる派手なネーミングのおとめ座銀河団に対し、ろ座銀河団とははあまりに地味。「ろ」ってなんだよ、と調べたらフラスコを温める炉だそうです。命名はまたもやラカーユ。けんびきょう座とかじょうぎ座とかやっちゃった人です。なぜペガスス座とかアンドロメダ座とかつけられなかったのか?(ラカーユ問題はこちらの動画の後半をご参照ください)
しかしネーミングの地味さに比べて、その姿はド派手。ウルトラ警備隊のマークに似たNGC 1365がど〜んと構え、その対角には立派な楕円銀河NGC 1399が輝いています(実は最初、楕円銀河を球状星団って書いてました。ご指摘いただいて修正しました。球状星団は銀河ではないですね。この間違いは2回目です。お恥ずかしや〜)。
銀河団とはその名の通り銀河が集まってできた領域で、さらに銀河団が集まると超銀河団になります。宇宙は均質ではなくて階層構造なんです。Wikiによると、ろ座銀河団の地球からの距離は6500万光年。恐竜が絶滅のきっかけとなった隕石が地球に落ちてきたのが6600万年前。そのちょい後に出た光がいま届いたんですね。なお、ろ座矮小銀河はろ座銀河団とは関係なく、天の川銀河を周る伴銀河とのことでした。
銀河がたくさん写っています。楕円銀河が多いですね。
右下の2本の立派な腕をもつNGC 1365が目をひきます。
棒渦巻銀河というなんのひねりもないそのまんまの分類名を持つ銀河。腕が青いのは新しい星が生まれている若い領域です。
大きな銀河だけでなく、ちっこいのも見てくださ〜い。
なかでも私は、下の方にあるぐるぐるしたNGC 1369がお気に入りです。薔薇みたい。こんな領域を撮影したときは、ちっこい銀河祭りも熱いです!
<撮影データ>
ろ座銀河団 〜 名前は地味だけど派手なやつら
2021年9月16日 〜 11月15日
Takahashi FSQ-106N (530mm, F5)
Takahashi EM-200
ASI1600MM Pro
Baader LRGB, Hα Filters
Autoguide – QHY5L-IIM / Baader Vario-Finder 60mm
露出(すべて-20°C冷却, Bin1x1, Gain 0, Offset 10)
L: 600秒x64, 300秒x122枚
R: 300秒x72枚
G: 300秒x75枚
B: 300秒x58枚
LRGB合計露出時間 37時間55分
Hα: 1200秒x87枚 (29時間0分)
総露出時間 66時間55分
PixInsightにて画像処理