ご多聞に漏れず巣ごもりが続くゴールデンウィーク。誕生日を迎えるこの日は遠征に行ってきました。撮影対象は北天分子雲。ぐらすのすちさんの北天分子雲をみて「綺麗だなぁ」と思い撮ってみたかったのです。
撮ってはみると銀河は割ときれいです。
しかし!分子雲があんまり写ってない! ちゃんと撮れたと思ったのに・・・。しかたなしになんとか無理して強調するとこんな感じです。
分子雲は存在していますが、無理していてコレジャナイ感が強い。
でも遠征そのものは、その楽しさを充分に味わえました。
準備万端・・・!?
いつもの深城ダムにつくと、ぐらすのすちさんやlayciさんもいらっしゃいました。また少し遅れて星屋さんも合流です。嬉しかったのはlayciさんに声をかけていただいたこと。オンラインの画像処理勉強会でご一緒していたのですがお会いしたのは初めてです。私のポータブル赤道儀SWATに冷却CMOSとBORGを載せた、お手軽なんだか面倒なんだかよくわからない特徴的な機器構成を見て、私とわかったそうです。
撮影現場は密を避け、少し離れたところに移動をしたところ・・・
「Niwa殿、そちらの方面は地面が沈みますぞ」
「ふふふ、もう以前の私ではないのだよ、ぐらすのすち君」
そういって取り出したのは東急ハンズで買ってきたステンレスの板4枚。これを三脚の下に引けば完璧です・・・ん?・・・4枚?
「あ〜、三脚って足は3本だっけ?」
仕方がないのでひとつは二重に重ねようとしましたが、ひとつだけ厚くなり安定感もなく、何一つ良いことがないのでそのままにしました。
過ぎたるは猶及ばざるが如し・・・ではなくて、備えあれば憂いなし!
極軸あわせも済み、導入を始める私。ここで手間取るのはお約束です。案の定、導入できずぐちゃぐちゃやっていると、再びぐらすのすちくん。
「北極星の柄杓の対角線上に同じだけいくとM81がいると、だいこもんから伝授されました。いにしえから東北地方に伝わる秘法と伺っていますので、ここだけにしてください」
聞いた通りやると、なんと一発で入っています。私も口が堅い人間。口外しないことを約束しました。
観望は最高!
そこからは順調でしたが、撮影をつづけているとだんだん北の空から曇ってきます。今日は月が出るまでの4時間が撮影タイム。困ったなぁ、と思いつつ晴れ待ちです。そこに深澤ダム名物、星空バリスタによる深沢コーヒーの堪能タイムが始まりました。このコーヒーはマジで美味しくて、これを星空の下で飲むだけで来た甲斐があります。
そうこうしているとだんだん晴れ空に。あわててセッティングを再開です。なんやかんややってあっという間に時間が経ち、気がつけば午前0時40分。オートガイドのグラフをみているうちに誕生日を迎えていました。最近はリモート撮影の機会が多かった私。今回は星空の下で撮影する楽しみを堪能できました。目の前でリアルに空を回転する星座を見たり、ちょっとおっかない動物の鳴き声を聞いたりしながら撮影するのはやはり楽しい。
また今回はぐらすのすちさんがニコン製の双眼鏡を持ってきてくれ、layciさん、星屋さんと一緒に見せてもらいました。生で見るプレセペ星団、干潟星雲と三烈星雲、はくちょう座の二重星アルビレオ。これは楽しい!数千年かけて宇宙空間を飛んできた光子が、自分の網膜にあたって旅を終える感覚。よくぞいらっしゃいました、と感慨深くなります。普段は狭い部屋で作業していて数メートル先も見えないのに、このときは遥か遠くの天体と自分の間に何も障害物がなく光が届く不思議。やはり星あかりを浴びるのは素敵な体験です。
友情の分子雲
帰宅後、画像処理を開始してみると「じぇんじぇん、分子雲が写ってない・・・」
いじけて、だいこもんとぐらすのすちさんとチャットしていると、「我々も撮影したM81-82があるので混ぜてみてください!」とのこと。おお〜。なんと嬉しいことをおっしゃる。早速、混ぜてみました。
なかなかよいです〜。各画像の比率に悩みましたが、こういったものは傾斜をつけると、あとで派閥争いを生み遺恨が残ります。ここは対等合併の精神に則り1/3ずつの配合としました。友人のデータと自分のデータを初めて混ぜてみましたが、思いのほか面白い!
その晩は、2人にそーなのかーさんも交えて、オンライン画像処理飲み会がありました。画像処理を肴にお酒を飲むという、天文界隈外の人にはまったく意味不明の楽しい飲み会です。そこで、そーなのかーさんに分子雲を強調するテクニックを教えてもらい試してみました。それが冒頭の写真です。
遠征はたのしいなあ。
<撮影データ>
■薄い北天分子雲
2021年5月3日20時43分49秒 〜 5月4日1時47分17秒
BORG 72FL + 7872レデューサー (288mm, F4)
ASI294MM Pro
Astrodon LRGB Gen2 E-Series Tru-Balance Filters
露出(すべて-10°C冷却, Bin1x1, gain 120)
L: 120秒x48枚
R: 120秒x10枚
G: 120秒x13枚
B: 120秒x12枚
総露出時間 2時間46分
Unitec SWAT-350-Vspec Premium
QHY5L-IIM/ミニ・ガイドスコープ + PHD2
PixInsightにて画像処理
撮影地: 大月市七保町
■友情の北天分子雲
だいこもんさん、ぐらすのすちさん、Niwaのストレッチ済み画像をPixinsightにてインテグレーション
総露出時間: 8時間55分
(だいこもんさんデータ)
2019年2月14日 0時30分〜
Mamiya Apo Sekor (500mm F6)
Canon EOS 6D
Kenko SEII + PHD2, dithering
露出(ISO3200)
360秒x29枚
120秒x10枚
撮影地: 福島県 原町
(ぐらすのすちさんデータ)
2021年2月6日23時23分〜2月7日2時52分
Takahashi FC-76 + Reducer (438mm F5.8)
Canon EOS 5D Mark IV
iOptron GEM45
QHY5L-IIM/ミニ・ガイドスコープ + PHD2
露出(ISO1600)
60秒x15枚
600秒x16枚
撮影地: 静岡県 天城高原
(Niwaデータ)
上述