おおよそ銀河というものは対称的な形状をしています。渦巻銀河は2本の腕が中心から渦を巻いていますし、楕円銀河も回転体。そして人間はそんな対称性に美しさを感じ、心惹かれます。ベルサイユ宮殿にしても、富士山にしてもそうです。それがシンメトリーの美です。
しかし、なんということでしょう。このNGC 55は中心部のバルジが片方にずれてしまっています。横をみせていて本来なら綺麗なエッジオン銀河になれたはず。同じ不規則な銀河でもマゼラン雲のように広がっているわけでもなく、渦巻銀河っぽい姿をしている分だけ余計にそのずれ感が気になります。
そんな対称的な銀河に憧れながら、なりきれなかった切なさを銀河の青に表現してみました。タイトルは「シンメトリーへの憧憬」です。色がとても綺麗なNGC 55。繊細な感じに丁寧に仕上げました。そのどこか美しい姿に、涙します。
周辺には銀河がたくさん写っています。
一番遠い銀河は11億9000万光年離れていました。
そして切ないことに、写り込んでいる銀河はみんなシンメトリーのようです・・・
がんばれ NGC 55!
<撮影データ>
2023年9月16日 〜 10月18日
AG Optiral 10″ iDK (250mm, F6.7)
Astro-Physics 1100GTO-AE
オフアキシスガイド ASI174MM Mini
ASI6200MM Pro
CHROMA LRGB, Hα Filters
露出(すべて-10°C冷却, Bin1x1, Gain 100, Offset 50)
L: 300秒x199枚
R: 300秒x74枚
G: 300秒x70枚
B: 300秒x71枚
LRGB 露光時間 34時間30分
Hα: 600秒x222枚 (37時間00分)
HαLRGB 総露光時間 54時間55分 (ただしHαの37時間はHII領域の強調のみ)
PixInsightにて画像処理
撮影地: チリ・ウルタド渓谷リモート撮影
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