以前にStarNetの星マスクにより微光星を暗くする手法をご紹介しました。なかなか便利なこの方法、でも一つ不満があったのです。それは明るい星にも作用してしまうこと。暗くしたいのは微光星だけなのです。そこで、今回は星マスクから明るい輝星は消し、暗い微光星だけのマスクを作ってみます。このマスクは、微光星だけの彩度を上げることなどに応用することもできます。(変なタイトルなのは、最後に言い訳が・・・)
Step1: 輝星だけのマスクを作る
最初のステップは輝星だけのマスクを作ること。まず微光星を暗くする手法に記載したようにStarNetを使って星マスクを作ります。
この星マスクのタブをデスクトップにドロップすることでクローンを作ります。このクローンのイメージファイルの名前をbig_star_maskに変更しました。
次にProcess – MorphologyメニューからMorphologicalTransformationを起動します。
設定パラメータは次の通りです。
Operator… Closing (Erosion + Dilation)
Size… 13程度(消したい星のサイズによって決定)
丸い日の丸アイコンを選択
■ボタンを押して実行します。
するとあら不思議、微光星が消えて輝星のみになります。ClosingはElosionで星を小さくしてDilationで元にもどす処理です。しかしSizeが大きいのでElosionしたときに微光星は消えてしまい、Dilationをしても元にもどらないため輝星だけが残るのです。どれくらいの輝星を対象にするかによってSizeは変更ください。なんどか試して決定することをおすすめします。
Step2: 引き算で微光星だけのマスクを作る
次のステップは微光星だけのマスクを作ることです。元の星マスクから、先ほど作成した輝星だけのマスクを引き算することで作ることができます。
Process – PixelMathメニューからPixelMathを実行します。
star_maskからbig_star_maskを引き算するため、RGB/Kに下記の数式を入力します。
star_mask-big_star_mask
入力できたら▲ボタンを星マスクにドロップするか、■を押して実行します。
見事に輝星が消えて、微光星だけのマスクができました(はじめてアニメーション作ってみました。画像の位置合わせが大変。Star Alignmentが欲しい・・w)。このマスクを使ってCurvesTransformationのLを下げて微光星の輝度を下げたり、Sを上げて微光星の彩度をアップしたりすることができます。
前回のEZ Star Reductionのドーナツマスクのときもそうであったように、PixelMathの引き算は単純なもののアイデアひとつでいろいろできますね。
MLTで一発!?
記事を書いてすぐに智-さんからお便りいただきました。
ん・・・あれ?
確かにMLT使うと一発ですね。早速やってみます。Process – NoiseReductionメニューからMultiscaleLinearTransformを起動します。
ここで大きなレイヤーのチェックをはずします。このレイヤーはWaveletと呼ぶもので数字が小さいほど小さな構造物が対象になります。Wavelet別の画像を見るとすぐに理解できると思います。では実行します。
おお! 一発で消えました。微光星自体も暗くなりましたが、星マスクの明るさは使用前に加工することが多いし、MLTのパラメーター調整でなんとかなるかもしれません。智-さん、ありがとうございます!!
元の手法はどうしたもんか・・お、天リフがコメントくれました。
というわけでPixInsightじゃない人も理解できるマスク作りの工夫でした〜。いろいろあるなあ、PixInsight!