なぜ緑色の星は存在しないのか?

これまで宇宙好きを自認しながら、天体写真を始めるまで「緑色の星が存在しない」とは知りませんでした。だって宇宙戦艦ヤマトにも七色星団って出てくるし・・・。

私が天体写真の画像処理に使っているPixInsightに、PCC(Photometric Color Calibration)という機能があります。星の色をもとに色合わせをするツールです。このPCCの動作原理を調べているうちに、「なぜ緑色の星が存在しないのか」に気がつきました!私としてはとっても感動したので、記事にしておきます〜。

星が光るのは・・?

ものが熱くなると光を発します。熱放射といいます。大半の星の光も星が熱いことによる放射の光で、面白いことに熱の温度だけで色は決まります。これは黒体放射という理論で説明でき、プランクの放射式で記述されます。その放射式を図示するとどこかで見たことのある、こんなグラフになります。

プランクの放射式のスペクトル
プランクの放射式のスペクトル

(ちなみにこの絵はパワーポイントで描きました。すごい大変でした・・・。そろそろイラストレーターとか使えるようになりたいものです) この線の一つひとつは星の種類に対応しています。大半の星の光は、こういうスペクトルを持っています。ここで人間が見ることのできる可視光線の部分だけ切り出してみます。

可視光部分を切り出す

切り出したグラフを拡大してみましょう。

星は何色?

切り出した部分を横に伸ばすとこんなグラフになります。このグラフの一つひとつはやはり星の種類に対応しています。

可視領域を拡大
可視領域を拡大

人間の目は青、緑、赤に反応する視細胞があり、波長が短い方から長い方に青、緑、赤と認識します。

線が右に下がっている星は青>緑>赤ですので、青く見えます。一方で、線が右に上がっている星は青<緑<赤なので赤く見えます。問題はその間の星です。緑に見えたいところですがグラフが横一線なので、青=緑=赤で白く見えてしまうのです。

青い星、赤い星
青い星、赤い星

つまり緑色の星がないのは、人間の目の色認識が波長の短い方向から青→緑→赤となっているためです。青と赤にはさまれた緑が個性を出せません。緑色がないのは、光を発するメカニズムと人間の色の認識の仕方が組み合わさった結果なんですね。

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