チリ・リモート ファーストライト!!

2022年10月16日(日) 午前9時に、チリのリモート観測所のファーストライトを迎えました。利用の第一号は私も所属する星沼会です。感激の最初の映像受信!飛び交うシャンパングラス、満面の笑みがあふれる一同・・・の予定でしたが、この数日、機器の調整を続けていてすでに画像を見ていたこともあり、普通にしっぽりと始まりました。

星沼会のステッカーが光る

今回のチリ・リモート構想に最初に手を挙げてくれた星沼会のメンバーには、本当に感謝しています。一定のリスクを伴いますし、お金もかかります。契約上はいつでもストップできますが、機材を現地に送りますので数ヶ月だけやってやめるというのも難しい。最初にやるのはやっぱり勇気が必要だったと思うのです。合作など共同で何かをやることに慣れているメンバーなので、最初に共同利用というスタイルが実現できたのだと思います。一緒に星沼会の機材を運用するのは、そーなのかーさん、Aramisさん、だいこもんさんです。ブログ記事が公開された順に紹介します。

そーなのかーさんは、機材の調整から契約、発送、現地調整まで運用の準備リードしてくださいました。その様子はシリーズでそーなのかーさんのブログで読むことができます。「そーなのかーさんがいないと実現できなかった」とメンバーとよく話しています。

チリリモート運用の準備(3)機材設置~ファーストライト | そーなのかーの雑記帳

Aramisさんは実は、星沼会で一番最初に手を挙げてくださいました。遠征回数がとても多く、天体写真だけでなく自撮りから温泉まで、遠征の楽しみを知り尽くしたAramisさんがリモート撮影の企画に最初に反応してくださったことで、他のメンバーもその気になった面もあると思っています。

星沼会チリリモート観測所ファーストライト
チリのリモート観測所でのファーストライトです。NGC346(小マゼラン雲内)光学系:R200SS+コレクターPH(760mm F3.8)+LRGBフィルターカメラ:ASI294MM Pro(フォーサーズセンサー)Gain:120  Offs...

ものごとの意味を大事にするだいこもんさんは「リモートとは何なのか?」と考えられたことと思います。でもやらなければわからない。「やってみればわかるだろう」と決断くださいました。この決断のことを書かれたブログは私の指針にもなり、なんども読み直しています。星沼会のステッカーを作ったのもファインプレーでした。

私が天リフで「すごいの民主化」を話すより前に、だいこもんはこの記事で「すごい天体写真の解放」について書かれています。天リフのときは失礼ながらその事実を失念していたのですが、私は無自覚に影響を受けたのだと思います。ファーストライトの記事はこちらです。

実は星沼会のメンバーには、昨年の夏合宿のときに、今回のチリの構想をお話ししていました。

「日本人向けのコンパクトなリモート施設」というアイデアを、チリの友人と最初に議論したのが、昨年2021年の2月。その後の私自身によるテスト運用がそれなりに形になったので「果たして日本のユーザに魅力があるのか?」「どれくらいの価格感なら日本で受け入れられるだろうか?」とチリメンバーと議論したのが昨年の夏ごろだったのです。星沼会メンバーには唐突に話したので、今にして思えばなかなか判断しにくいご相談だったかもしれません。その後はチリの業者との付き合いが当然ながら初めてだったため時間がかかりつつも、細かいところを詰めていき、最終的に今年の夏に募集のアナウンスをしました。夏合宿での星沼会への最初の相談から1年経って、申し込んでくれた時は、とても嬉しい気持ちになりました。

今回嬉しかったことはたくさんあります。まず一番は「みんな楽しんでいる」ということです。正直なところリモート撮影が皆にとって楽しいことかについてはドキドキでした。私は1年半運用してきて、イベント感のある遠征とは異なる「日常に組み込まれた天文」という新しい楽しみを見出していました。しかし私以外の人にはどうなのか?それが一番心配でしたが、それぞれに楽しんでいる姿を見て安心しました。今後のブログやTwitterの投稿から目がはなせません。

ふたつめは、現地のメンバーとのコミュニケーションがうまくいったことです。今回のプロジェクトは私のチリの友人であるカルロスとエドアルドと私の3人で、現地業者のObstech社と話をしました。カルロスは情熱の塊のような人で、私はカルロスの熱量に引っ張られてやってきました。エドアルドはスーパーエンジニア。なんでも自分で作ってしまいます。大先輩のエドアルドは人生の楽しみ方を知っている私の心の師です。今回の現地調整も彼の仕事です。とくに嬉しかったのは、光軸調整や機器の設置などを通じて、星沼会のメンバーがエドアルドの技量に認め信頼してくれたことです。国が違えば常識も異なります。しかし天文にかける情熱は同じ。チリでは天文仲間をAstrobis(Tobisは仲間でやるクラブの意味)と言います。

Astrobisのシンボル (日本の天文ファンは鍋と日本酒ですが、AstrobisはBBQとワインです)

また自分達でできることは自分達やり、主要な機材も手持ちのものを持ち寄ることで、コスト削減を図る工夫もできました。共同運用のスタンダードを最初に作ることができたのもありがたいことです。とはいえ、まだまだコスト負担は大きく、今後さらなる工夫を重ねたいと思っています。

申し込んでくださった方は他にも多く、今後、ファーストライトが目白押しです。とても楽しみにしています。

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