天体撮影を計画するとき、私が一番困っているのが「何を撮影したら良いかわからない・・・」ということ。まだ撮影していないメジャーな天体があればそれを撮ればよいのですが、そうでもない時、困ってしまいます。「夏の星雲」とかでググっても、いまひとつ見つかりません。そんなお悩みを解決する方法をひとつ見つけました。
「Astrobinで、赤経・赤緯を指定して検索する」
です。ただし費用が年間で8400円程度(61.5米ドル)かかります。月々にすると700円弱なので、私はプランに加入しました。
撮影対象をみつけるときに、私は「深夜12時頃に南中する」「20時頃に高度40度くらいまで上がっている」という探し方をすることが多くあります。そんな方法を発見しました。ここでは「深夜12時頃に子午線通過し、そのときの高度が60度以上」を例にとります。
(ステップ1) 赤経の範囲を決める
まず、プラネタリウムソフトで、その日の深夜12時の真南が赤経何度であるか調べます。私はSky Safariをつかっています。
前後2時間は許容範囲として、赤経の検索範囲は17時32分 〜 21時32分と決定します。
(ステップ2) 赤緯の範囲を決める
次は赤緯です。これは計算で求められます。北半球の場合、撮影地の北緯をa、撮影したい天体の南中高度をbとすると、次の式になります。ただしbの高度は北緯より高い場合を対象にしています。
- 北天: 90° + a – b
- 南天: a + b – 90°
たとえば北緯35°では次の式になります。
- 北天: 90° + 35 – b = 125 – b
- 南天: 35 + b – 90° = -55 + b
高度60°以上の条件にすると・・・
- 北天: 125 – 60 = 65°
- 南天: -55 + 60 = 5°
つまり赤緯は5° 〜 65°と決定できます。この計算は次のように考えました。
この式は南半球では次のとおりです。
- 北天: 90° – a – b
- 南天: -90° – a + b
たとえば南緯30度のチリリモート観測所を例にとると下記の式になります。
- 北天: 90° – 30° – b = 60° – b
- 南天: -90 – 30 + b = -120° + b
高度60°以上の条件にすると赤緯は0°から-60°になります。
Astrobinで検索
最後はAstrobinで検索です。Astrobinは世界最大の天体写真の共有サイトで、毎日、大量の写真が投稿されています。私も画像処理の参考にいつも見ています。このサイトを使って撮影対象を探すというわけです。
まずExplorerメニューからAdvanced Searchを選びます。表示された画面の一番下に、Add Filterという欄があるので、Selectをクリックします。出てきたメニューからRight Ascension(赤経)、Declination(赤緯)を選びます。またついでにAwardも選びました。
すると検索欄でこれらのパラメータを選択できるので、入力します。権威に弱い私は、Awardとして、Image of the Day、Top pick、Top pick nominationの3つを指定しました。
これでSearchを押して実行します。すると22時から2時の間に、高度60度以上になる天体が検索されます。
・・・とこんな感じです。
「20時頃に高度40度くらいまで上がっている」という探し方の場合は、20時に高度40度くらいの領域の赤経と赤緯をプラネタリウムソフトで直接調べました。
もしかしたら当たり前じゃない〜かもしれませんが、私には画期的な検索方法です!これで月々700円は充分価値があるように思いました。よかったら試してみてください。