宇宙には、つくづく変わった形の天体がありますが、らせん星雲(NGC 7293)もその一つです。これは目です。どうみても目です。おまけに眉毛もあります。目尻と目頭、まつ毛もちゃんとあり、拡大すると虹彩の放射状の模様もあります。じ〜っとみていると、だんだん不思議な気分になってきます。海外でもThe Eye of God (神の目)というニックネームで呼ばれているそうです。
らせん星雲は星が寿命を終えた残骸です。重い星ですと寿命が尽きた時に大爆発(超新星爆発)を起こしますが、それほど大きくない星は、爆発を起こす代わりにガスやチリをどばっと噴出します。その跡がこのらせん星雲なのです。中央にガスやチリを放出した後の星の芯の星が残っており、そこからの紫外線で照らされて構造が見えています(正確には電離したときの光です)。我々の太陽も同じ超新星爆発を起こさないタイプの星です。寿命を終えると言われている50億年には、こんな姿になるのかもしれません。
形状はネットの情報を総合するとこんな感じようです。
これ以外にも外周に円形の構造がいくつも重なってできているようです。何回かにわけてガスを大放出したあとなのかもしれませんね。
また最初の写真はクロップ(トリミング)してあります。トリミングをしていないそのままの写真はこちらです。
トリミングしないと今度は、宇宙にぽっかり浮かんだ感じになりますね。ちなみに目が斜めになっているのは、天体写真は北を上にする、という慣習があるためです。最初の写真は目を優先して掟破りの構図にしました。
<撮影データ>
宇宙からこちらを見つめる目。らせん星雲 (NGC 7293)
2022年9月15日 〜 10月16日
Takahashi FSQ-106N (530mm, F5)
Paramount ME
ASI1600MM Pro
Baader LRGB, Hα Filters
Autoguide – QHY5L-IIM / Baader Vario-Finder 60mm
露出(すべて-20°C冷却, Bin1x1, Gain 0, Offset 10)
L: 300秒x251枚
R: 300秒x71枚
G: 300秒x78枚
B: 300秒x79枚
Ha:300秒x98枚、1200秒x67枚
総露光時間70時間25分
PixInsightにて画像処理
撮影地: チリ・ウルタド渓谷リモート撮影
observatorioelsacuce