永遠の迷宮に彷徨う 〜 IC443クラゲ星雲

IC433 クラゲ星雲
IC433 クラゲ星雲

もう現世には戻ってこれないかと思いました。

休前日のこの日、仕事帰りに向かったのはいつもの三浦です。本当は天リフ宿題の魔女の横顔をなんとかしたかったのですが、もう星空の季節は春。深夜を待たずに沈んでしまうのでクラゲ星雲を狙いました。スムーズいけば(いったことはないけれど)現地に20時着。準備に2時間かかっても、22時から西の空にクラゲが沈む午前2時まで4時間近く撮影できる予定です。三浦もだんだん空が明るくなってきているのでナローバンド撮影と決めました。

撮影スポットの宮川公園近くに着いてびっくり。

(めっちゃ明るい・・・)

強烈な照明が辺りを照らしています。こんな誰もいないところで強い照明をして、誰得なんだろうと思いつつ、仕方なしにいつもの撮影スポットを後にし、車を運転しながら新たなスポットを探しです。

(こっちにいけば、良い場所があるかな?)

いま思えば、これが永遠の迷宮への入り口でした。

三浦の迷宮に彷徨う

三浦野菜で有名なこの地。あちらこちらに農道が張り巡らされています。

農道でさまよう
農道でさまよう

一歩、中に踏み込めばそこは永遠のラビリンス。迷い込んで無事に帰ってこられたものはいないと言われています。なぜ魅入られたように右折してしまったのか。真っ暗な闇が判断を誤らせたのかもしれません。完全に農道の中で迷子になりました。そこからはひたすら「行き止まりになりませんように」とお祈りしながら右折したり左折したり。Google Mapを見るも現在位置が不正確で役に立ちません。おそらく魔物たちが意地悪をしているのでしょう。

半べそかきながら彷徨っていると、軽トラに乗った若いカップルがいらっしゃいました。魔物の使いたちではないか慎重に確認しつつ帰り道を教わり、やっとのことで迷宮を抜け出しました。

ふたご座の大きさを誤る

ようやくそれなりの観測地を確保し設営開始です。今夜はふたご座の足元のクラゲ星雲なので、こんな軌道を描くだろうと空をみながら三脚を設置する場所を決めました。しかし、ああ、知らなかった。あんなに双子座が大きいとは。ふたご座は私のお気に入りで、晴れた日は横浜からいつもみていました。カストルとポルックスが寄り添う可愛い星座。そのため自分の中のイメージはちっちゃい可愛く二人寄り添う双子で、本当のふたご座の1/3くらいの大きさをイメージしてしまっていました。極軸を合わせ、左のポルックスからクラゲ星雲を導入すると・・・

電線が入ってしまった・・・
電線が入ってしまった・・・

(あちゃー。電線が入っている)

私がイメージしたよりもっと低い空にクラゲ星雲は位置しており、電線がはいっている。さらには、このあと電線が何本も続きます。結局仕方なしに、三脚を移動し極軸あわせのやり直し。結局撮影開始は予定より2時間遅い深夜0時で、撮影時間は予定の半分の2時間弱となりました。

冷やし中華を冷やし中

いまこのブログは自宅でダークを撮影しながら書いています。冷却CMOSにしてからおうちでダークをとれるのが嬉しいところ。撮影時は調子にのって-20℃まで冷やしましたが、暖かい部屋ではそこまで下がりきらないので保冷剤を使って、冷やし中華を冷やし中です。

保冷剤で冷やされるカメラ

写真はクラゲが深海を漂う感じを出してみました。あいかわらず失敗続きの私。撮影時間が短くてちょっとザラザラは否めません。ナローバンドなら自宅からも撮れそう。追加撮影の機会を伺っています。

<追記>
翌週の2021年2月20日に千葉県大多喜町で追加撮影しました。

<撮影データ>
2021年2月10日23時59分59秒〜
BORG 72FL + 7872レデューサー (288mm, F4)
ASI294MM Pro 
Astrodon 5 nm Narrowband Filters – SII, H-α,OIII 5nm
露出(すべて-20°C冷却, Bin2x2, gain 120)
 SII: 120秒x18枚
 Hα: 120秒x16枚
 OIII: 120秒x20枚
 総露出時間 1時間48分
Unitec SWAT-310-Vspec
QHY5L-IIM/ミニ・ガイドスコープ
PixInsightにて画像処理

撮影地: 神奈川県三浦市

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