SubframeSelectorにはCamera Gainという項目があります。私の持っているFUJIFILM X-T30で撮影した写真はGainはどんな値を持つのか、どうやって調べたものか途方に暮れていると、そこは四次元ポケットのPixInsight。ちゃんと調べるツールがありました。Basic CCD Parametersです。Light Vortex Astronomyサイトのこちらに記載がありました。ありがたや。
それでは、やってみます・・・と気軽に書いてちゃってますが、実は数行読むごとに知らない言葉・概念が出まくって、調べ調べして一日がかりでした。説明が間違っているところもあろうかと思いますので、後々、正しいことが分かったら随時更新します。そんな状況ですが、情報としてはなんらかの意味はあると思い、公開します。
Gainとはなんだ?
Gainとは、ADU(Analog Digital Unit)と呼ぶ各撮像素子のデータの読み出し量に対して、どれくらいの電子を得たか、変換するパラメータです。撮像素子では、電子の数を一つひとつ数えるわけにもいかないので、コンデンサーを使って電圧測定し電荷量を求めます。そこで測定された数値がADU。14bitなら0〜16,383、16bitなら0〜65,535の値をとります。その値を電子の数に変換する係数ががGainです。電子の数にさえ変換できてしまえば、もともとその電子は光電効果で作られたものなので、光子の数を求めることができ光の強さがわかるわけです。この辺のくだりは、Samさんのほしぞloveログの記事に詳しいです!
準備するデータ
Basic CCD Parametersを実行するために、下記のデータを用意します。
- Flatフレーム 2枚
- Biasフレーム 2枚
- Dark フレーム 2枚。Darkは露出時間が10倍違うもの。たとえば60秒と600秒など
このデータをPixInsightに読み込みますが、CMOS/CCDカメラではなく、私のようにミラーレスカメラや一眼レフカメラユーザは注意が必要です。一眼カメラのカラー画像の場合、PixInsightはDebayerして読み込みます。Debayerとは画像ファイルを特定のRBG配列に並んでいると想定してカラー化する処理です。このBasic CCD ParametersではDebayerせずPure RAWのまま使います。
左端のピンクのボタンを押してFormat Explorerを起動してください。

次にFormat ExplorerでRawを選択します。

起動したダイアログボックスで、Pure RawをクリックしOKを押して閉じます。こうすることでDebayerされずにRawファイルをそのまま読み込みます。

これで準備OK。Flat, Bias, Darkフレームを2枚ずつPixInsightで読み込みます。Debayer処理をしないので読み込みが速い!!
Basic CCD Parametersの起動
さていよいよBasic CCD Parameterを起動します。ScriptメニューからInstrumentation – BasicCCDParametersを選択ください。
起動した画面でFlat, Bias, Darkフレームを指定します。

またDarkフレームは露出時間を指定します。自動で入力されますが、私のDarkフレームの露出時間が長い方は600秒ですがなぜか640と表示されましたので600に変更しました。

つづいてCamera Propertiesの入力です。

- CFA: 私のカメラはカラーですのでチェックします。
- Readout: 通常16bitです。
- A/D bits: 私のカメラは14bitです。
- Maximum Maximum ADU: 14bitなので規定値の16,383としました。14bitなら16,383、16bitなら65,535でOK・・・と言いたいところですが、撮像素子は最大まで飽和することはできず、もう少し小さい値になるそうです。Light Vortex Astronomyの記事では「明るいところで 30秒くらい露出した写真を撮って、Maxmum Pixel Valueをチェックすれば良い」とあります。とりあえず写真を撮ってPixInsightで読み込み、Readoutをやってみたのですが結局、分からずじまいでした。これは今後の宿題です。
Reportの実行
それではReportボタンを押してみます。わくわく。

すると以下の様な結果が出ました。

4つのチャネル毎にGainのデータが取得しました。平均して1.75を採用してみます。
以上、Basic CCD Parametersでした。このあと本題のSubframeSelectorを使ってみます。う〜〜ん、正しいことをやっているのか自信ない・・・そもそも、頑張ってGainをゲインしなくても良くて、徒労に終わる感も半端ないですが、まあ後々役に立つこともあろうかと思ってここで終わりますw。もう少し分かったら更新します!
あ、それからFormat ExplorerでPure RawになっているのをDemosaiced RGBに戻しておくことをお忘れずに!!

PixInsightの処理の全体フローはこちらをご参照ください。