もうすぐゴールデンウイーク。世間はそわそわしていますね。今年のゴールデンウイークは新月なので天体観測もたくさんできて、めっちゃ楽しみです。
ということで、端午の節句、子供の日記念。トールの兜という星雲です。
端午の節句といっても戦国武将の兜ではなくて、北欧神話にでてくるトール神(Thor)がかぶっているバイキングのような角のある兜です。ちなみに私が遠征に行くときにいつも乗っているボルボのヘッドライトも「トールのハンマー」というT字のアイコンが使われています。
トリミングしないバージョンはこちら。
宇宙に浮かんでいて、ちょっと神秘的な感じがしますね。
中心にはHD 56925という巨大な星があります。超新星爆発を起こす寸前の星で、表面温度が3万〜10万度(K)ととても熱い星で、明るさは太陽の数十万倍あります。
この中心星のエネルギーで、この兜のガスは巻き上げられ、すごい勢いで吹き飛ばされています。そのスピードは秒速10-30kmくらい。1年に10億キロ移動しています。とはいっても兜の大きさが300兆キロメートル(30光年)くらいあるので、人類の歴史の時間軸ではほとんど止まって見えますね。
画像処理には苦労しました
このトールの兜。撮影は1ヶ月半前に終わっていたのですが、やっと画像処理が終わりました。子供の日を待っていた・・・わけではなくて、軽いスランプだったのです。
多くの星雲は赤い色をしています。宇宙に一番多い、水素由来の光が赤いためです。そのため赤い星雲はだいたい画像処理をする前からイメージがつくのですが、青い星雲はあんまりやったことがなくて画像を前に呆然としてしまい、イメージがわくまで放置していたのです。
また天体写真に限らず普通の風景などの写真でも、明るい部分と暗い部分を強調することでコントラストの高いパリッとした写真に仕上がります。しかし天体写真の場合は「せっかく写っているのにもったいない」精神が発揮されてしまい、暗い部分を明るくしてしまうことがあります。そうすると明るい場所も暗い場所も明るくて、平べったい写真になってしまうのです。今回は、グッと我慢して、明暗のはっきりした写真に仕上げてみました。
色とコントラスト。うまくいっているでしょうか・・・?私としては、難産だったこともあって気に入っています!
<撮影データ>
もうすぐゴールデンウイーク! 端午の節句、トールの兜
2024年1月10日 〜 2024年3月9日
AG Optiral 10″ iDK (250mm, F6.7)
Astro-Physics 1100GTO-AE
オフアキシスガイド ASI174MM Mini
ASI6200MM Pro
CHROMA LRGB, SII, Hα, OIII Filters
露出(すべて-10°C冷却, Bin1x1, Gain 100, Offset 50)
R: 300秒x88枚
G: 300秒x84枚
B: 300秒x80枚
SII: 600秒x71枚
Hα: 600秒x85枚
OIII: 600秒x90枚
総露光時間 62時間00分
PixInsightにて画像処理
撮影地: チリ・ウルタド渓谷リモート撮影
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