人類のみなもと超新星爆発 – ほ座超新星残骸

ほ座超新星残骸
ほ座超新星残骸 (高解像度版はこちら)

ほ座超新星残骸といって、12,000年くらいまえに大爆発(超新星爆発)した星の残骸です。これは全体のほんの一部。もっと広がっていて、全部撮影するには、あと50枚くらい必要そうです。超新星というネーミングですが、実際には星の終焉のことです。

我々の体を構成する炭素などの元素や、目の前にある金属は最初から宇宙にあったものではなく、どこかの高温の星の中で核融合によって作られ、超新星爆発によって宇宙にばらまかれたものです。重金属など爆発によって生成される元素もあります。我々の体は、はるか数十億年の昔は知らない星の一部だったんですね。そのことを尊敬するカール・セーガン博士は「われわれは星くずでできている」と述べました。

調べたところによると、最近の研究では超新星爆発以外にも、中性子星の合体でも金などの合成がおきるとか。重力波の観測がすすむと、もっとわかるようになるのでしょうね。

ちなみに、一番近くおきそうな超新星爆発はオリオン座のベテルギウスです。640光年先の光なので、もしかしたらもう爆発しているかもしれません。ベテルギウスは地球からとても近い星なので、爆発したら昼間でもよく見えるはずだと天文ファンは興奮しています。

「遥か遠く終わらないベテルギウス♪」と歌っている場合ではないのですよ!

また超新星残骸として有名なかに星雲の爆発は、藤原定家の明月記に書かれています。突然、明るい星が出現して半月以上続いたとあります。ベテルギウスはもっと明るいので、すごいことになるんでしょうね。夜でも明るくなる?明月記は超新星爆発の観測資料しても世界的に貴重だそうです。

水素の電離ガス、つまり陽子から放出された光(Hα輝線)を撮影した白黒画像も合わせて載せます。見やすいように星を画像処理で消しました。こちらは爆発のあとの網状のフィラメント構造がよくわかります。

ほ座超新星残骸のHα画像
ほ座超新星残骸のHα画像(星は画像処理で消している) 高解像度版はこちら

2022年2月24日 〜 3月13日 
Takahashi FSQ-106N (530mm, F5)
Paramount ME
ASI1600MM Pro
Baader LRGB, Hα Filters
Autoguide – QHY5L-IIM / Baader Vario-Finder 60mm

露出(すべて-20°C冷却, Bin1x1, Gain 0, Offset 10)
 L: 300秒x227枚
 R: 300秒x77枚
 G: 300秒x75枚
 B: 300秒x88枚
 Ha:300秒x218枚
総露光時間 57時間5分

PixInsightにて画像処理

撮影地: チリ・ウルタド渓谷リモート撮影

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