先週の金曜、土曜と連続して美術館に行ってきました。
金曜日は友人のM&Mさんがお勧めしてくれた国立西洋美術館で開催中のチュルリョーニス、土曜日はアーティゾン美術館での大好きなモネです。チュルリョーニスのことは知らなかったのですが、モネに限らずモダンアート好きの私なので、きっと良いに違いないと思って出向きました。
チュルリョーニスは100年以上前に活躍したリトアニアの作家です。音楽家でもあり、画家として活動した期間は6年くらいとのことです。これが素晴らしい。モダンアートの視点では音楽と絵画の融合がテーマになっていました。私はその色彩表現に目を奪われました。6回もの春夏秋冬を経ているのですが、ほとんどがベージュとグリーンを使った作品ばかりです。リトアニアという国の気候がそうさせているのかもしれません。それらの作品群を連続でみていると、だんだん目が慣れてきて、その奥にある作品世界に引き込まれるような感じがありました。
Today’s bestは?
私は美術館の展示会に行った時に必ずすることがあります。それは「今日の一枚」を選ぶこと。「どれが一番お気に入りかなー」と思いながら作品を選ぶのがとても楽しいのです。
チュルリョーニス展の「今日の一枚」は「リトアニアの墓地」でした。

あまりに好きすぎて勢いでレプリカを買ってしまいました。墓地といっても不気味な雰囲気はまったくなく、むしろ欧州の童話にでてくるような光景を思い出して、むしろコミカルな印象すらうけました。静かな雰囲気の中、いくつかの塔の頭上に北斗七星が輝いています(さらにはアークトゥルスらしき星も光っています)北斗七星は何か、宗教的な意味があるのかもしれません。少し照明が暗めだったので、この画像でみるよりもより神秘的でした。絵の具を塗った横と斜めの塗り跡もとても綺麗です。
モネ展の方は、いつもは睡蓮に目を奪われるのですが、今回の展示は初期から中期の作品も多くありました。今回の私の今日イチは、こちらのディエップ近くの断崖という作品です。

モネの作品は光の方向と風の向きを感じることができます。作品ごとに、何時頃の光がどちらから差していて、どんな強さの風がどちらから吹いているかを意識すると格段に楽しくなります。この作品はおそらく夕刻の空の色が風が凪いでいるおだやかな海の水面に映り、それが山々の色と混ざるようでとても綺麗です。オレンジではなくてピンクの空ですので日本でいうと乾燥した秋の夕焼けではなく、湿度が高い夏の夕焼けのようです。もう一つモネの作品を楽しむときのコツとして気候もあります。たとえばセーヌ川ばかり何枚も描いていますが、夕焼けの色がオレンジだったりピンクだったりします。湿度が低いと夕焼けはオレンジに、高いとピンクになるので気候も感じることができるのです。そんなことを考えながら、ずっと見ていられました。
ちなみに前日に行った国立西洋美術館ではチュルリョーニスと共に北斎の「富嶽三十六景」展も開催していました。富嶽三十六景の全作品をしっかり見た後にモネをみると、その影響を如実に感じました。影響を受けているとは聞いていましたが、リアルに感じることができました。この「ディエップ近くの断崖」でも、近くの断崖と遠くの海のパースの効かせ方というか遠近感の出し方は「まんま昨日見た北斎じゃーん」って思いました。
そしてその金曜、土曜の私の「今日の一枚」である2作品を見ていて、天体写真の画像処理に迷いが生じ始めたのです。
コントラストが低い。色数が少ない
絵画と天体写真の違いはありますが、2次元に表現された画像表現という意味では、両者は似ているところがあり、私はいつもかなり参考にしています。
3月にだいこもんんと実施したトークライブで、私はAstrobinの選定基準についてお話をしました。その中で「コントラストと色数の重要性」についても話しています。
その視点でみたとき、このチュルリョーニスの「リトアニアの墓地」と、モネの「ディエップ近くの断崖」は、とてもローコントラストなのです。またチュルリョーニスは色数も少ない。モネの「ディエップ近くの断崖」は色彩は豊かですが、コントラストは低く感じました。画像では高めに見えますが美術館の暗い照明では、ネットでみる画像より淡いものでした。しかし、それらの絵画をみたときに、とても心が動かされたのです。そうすると、ローコントラストで彩度が低め、色数も少なくても心が動く天体写真もあるはず。判断基準はそればかりではなかったことになります。
悩みが続きます。
