チリの砂漠化に歯止め!?リモート観測会中止に思うこと

廃墟となった教会 - チリ旅行中に撮影 (ウルタド渓谷)
廃墟となった教会 – チリ ウルタド渓谷 (2019年7月3日撮影)

チリの天体観測所が雨や曇り続きです。先日のリモートによるらせん星雲のナローバンド撮影を楽しんだ続きで、今度は写真に色をつけようと新月の今日はLRGB撮影を予定していました。しかし残念ながら曇り空で中止になりました。

私の友人の観測所のあるウルタド渓谷は、年間に晴天が310日あります。つまり1週間に6日は晴れるところ。しかしこのところ雨が続いているのだそうです。冬期にあたるこの時期はもともと雨期ではありますが、それでも友人によると「こんなに雨が続くことはしばらくなかった」とのこと。

データが少ないので因果関係はわかりませんが、コロナウィルスによって世界的に経済活動が停滞していることが気象に何らかの影響を与えているのかもしれないと、話し合いました。

砂漠化が続くチリ

チリの北部は雨の少ないところで、有名なアロマ天文台もアタカマ砂漠にあります。南北に細長いチリの海岸部には山地帯があり、海からの湿った空気が押し戻されるそうです。衛星写真を見ても、海には雲が広がっているのに、海岸線に沿ってバリアが築かれているように雲が内陸に入ってこないのを見ることができます。

もともと降水量の少ないチリですが、いま深刻な事態に直面しています。国土の半分から3分の2の砂漠化がすすんでいるのです。この数年はここ60年でも最も降水量が少なかったとのこと。

少ない雨は農業に深刻な影響を与えているとともに、人の飲料水の不足という直接的な問題も引き起こしています。チリは銅の産地でも有名なところです。銅の採掘には大量の水を必要としますが、水不足により産業へのインパクトも大きく、新規プラント建設では水の手配も重要なテーマになっています。

このところの雨続きが、コロナウィルスによる産業活動の減速と関係があるかはまだわかりません。しかしその可能性も否定できません。

(ちなみに砂漠化の原因は上記のような降水量不足という自然による原因の他に、過度の耕作による土壌浸食という人為的な原因もあるそうです。)

コロナウィルスで僕らは変われるか?

今回のコロナウィルスは人類にとっては試練ですが、変わることのできるラストチャンスのような気がします。46億年かけて地球が蓄えてきた化石燃料をこの数十年で使ってしまい、後世の動植物や人に多大な迷惑をかけていることがわかっていても、やっぱりエネルギーを使ってしまう自分がいる。上のチリの写真も石油を使って飛行機に乗って旅行しました・・・

今回の影響で世界のCO2の排出量が減ったのは事実のようです。しかしWiredによれば、リーマンショックのときもCO2が3%減ったがすぐに元に戻ってしまったそうです。経済が一過性のことに終わってしまう可能性もあります。

でも、この自粛の数ヶ月で、自分も含めて新しい価値観が世界中の人に芽生えたようにも感じます。我々の欲望は消せないけれど、個々の利益の追求だけでない、資本主義に地球主義が加わった新しい世界をどうやったら作れるか。いま微力ながらも考えています。

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