天文趣味と英語のはなし

天文ファンとしてまだキャリアの浅い私のブログにアクセスしてくださる方がいらっしゃるのは、私の情報の大部分が英語圏からである入手していることも関係していると思います。英語での情報収集について「どうやっているの?」とご質問を受ける機会もちらほらあります。ちょっと気恥ずかしいのですが、何かのお役にたつこともあろうと私の英語との付き合い方を書いてみます。

私と英語

私は海外留学など海外で生活をした経験はなく日本で英語を学びました。英語歴は長いです。英語に憧れて勉強したのもありますが、それよりIT系の仕事をしているため使う機会が多かったというのが主な理由です。いまでこそ日本と英語圏でのITの情報格差はありませんが、20数年前は大きな格差がありました。Windows NTの米国での発売が1993年、日本は1996年。iPhoneは米国が2007年、日本が2008年。ITの進歩は早いのでお客様より1年早く情報を入手するだけで食っていける時代が長く続いていたのです。

当時の私のTOEICは、英語が使えるとは程遠い400点。しかしIT(そのころは情報処理と言っていました)の分野に限るとすぐに慣れました。実際、英語が得意になったなあと思って、他の分野の本を読んだり映画を見たところ、ちんぷんかんぷんだったので自分の専門分野に限ると使えるようになるということなんでしょう。よく考えれば当たり前です。天文の世界でも「アライメントとって、キャリブレーションして、ガイドスター見つけて、ディザリングは・・・」とか言っているわけです。カタカナを英単語にするだけでおそらく英語圏の人と会話は成立します。

ハードルを上げずに英語と接することはできるのだと思います。そんなわけでこのあとは嬉し恥ずかし、私の英語作戦です。

読み流す習慣

最初は情報収集の王道、ググりかたです。一番大事で身につけたいテクニックは読み流すこと。Google検索して情報を読み始めても、8割近くは自分の欲しい情報ではないことを経験している方は多いと思います。日本語のときはさらっと読み始め「これは!」と思ったら真剣に読み始めるのですが、英語になるとなぜか、どんな文章も立派に見えて全部真剣に読み始めてしまう。その結果、数時間頑張って成果なし、ということが私にはよくありました。

まずはササっと読み、良いと思ったら辞書をひきつつ真剣に読む。「そんな英語力は無いから読み流すのは無理」と最初は感じるのですが、私の経験ではそのときの英語力に応じて意外とできるものです。ポイントは「意識的に英語であることを忘れること」。英語となるとどうしてもしっかり読まねば、と思ってしまいますが、頑張って英語を読んでいる意識をなるだけ排除して、ひたすら情報を探している意識にモードチェンジします。知っている天文用語が頼りです。コンテンツの詳細はとりあえず置いておいて「あ、これは関係ない」「これは大事そう」ということに集中して、一次スクリーニングします。慣れてないうちは「大事な情報を見落とすかも」と思ってついついちゃんと読みますが、大事な情報はいずれ別の機会に検索にひっかかってきますし、とにかく英語圏は情報が膨大です。必要か必要でないか、だけに注力して流し読みをする習慣をつけると、半分は勝ったようなものだと思います。

一次スクリーニングが終わると、次は大事だなと思った情報を、辞書を引き引き読んでいきます。読み始めるとその中でも5割くらいは関係ない情報とわかります。つまり、さっと読んで2割採用し、真剣に読み始めてすぐに5割に絞る。そうすると読んでみた情報のうち、真剣に読むのが1割くらいに減り、情報の質があがってきます。とてもできないように思えますが、慣れると本当にできるようになりますので、ピンときたかたはぜひ習慣づけをおすすめします。

次は動画です。

動画との付き合い方

動画との付き合いに関しては私は新参者です。その昔、ITの情報収集していたときはYouTubeなんてありませんでしたし、見た内容を再び確認するのが面倒。なにより見ている最中に寝てしまう。しかし、最近、考えをあらためて積極的に動画を見ることにしました。やはり視覚情報があるのでハマると理解が早いですね。

動画もGoogle検索と同じで一次スクリーニングが重要と考えます。YouTubeの場合ラッキーなことに視聴回数が表示されています。再生の多いものは支持されていると考えそれを中心に見ています。最初にスクロールバーで出てくる画像をパラパラ見て、自分が見たいものか判断しています。きちんと見始めた段階では再生/一時停止ボタンに手をかけ、わからなくなったら何度も戻してみるのが私のスタイルです。でも難しくて全然わかんなくなったら、映像だけ見続けることも割とあります。PixInsightの動画ですと、全体に興味がない場合や内容が理解できない場合でも操作だけ見ていると面白いテクニックを使っているのを発見できるので、それを自分で試してみることは多いです。私のブログでは、微光星のマスク二つの画像比較はそうして見つけました。動画は違うことの説明でしたが部分的なテックニックをピックアップした感じです。動画はこういうことができるから良いなと最近考えを変えました。

チャットや会話

最後はコミュニケーションです。どうしてもわからないことはフォーラムに書き込みをしますし、仲良くなるとチャットのやりとりや直接話をすることもあります。まず書き込みについてはいまはGoogle翻訳があるのでほとんど苦にならないと思います。米国生まれで日本語より英語の方が得意だという日本人の友人も、日本語の文章の英訳を依頼された時にはまずGoogle翻訳を使うと言っていました。以前は修正が必要だったそうですが、最近ではほとんどそのまま使っているそうです。日本を入力するときは、主語をちゃんと書くことと翻訳調で書くのがコツです。たとえば「私はPixInsightのカラーキャリブレーションの結果が正しくできません」と書くと”I can’t get the result of PixInsight color calibration correctly.”とそれっぽくなります。

会話についてはよく言われることですが「失敗を恐れない」というのは本当と思います。先日の天体観測のときに私のインチキ英会話をぐらすのすちさんに聞かれちゃいました。私はクラゲ星雲をつたえるときに、”I am shooting Medusa Nebula between Twins and Orion.”と言ったのですが、「Niwaさん、ふたご座はGeminiですよ」って😅。おお、さすが語学堪能。ちなみにくらげ星雲はJellyfish Nebulaです。そんな感じでもまあ大丈夫。先方がネイティブの場合は大体こちらにあわせてくれますし、お互いノンネイティブのときはGoogle翻訳の助けも借りながら会話できます。とにかくコミュニケーションは量をこなすことと思います。

また書くときや話すときに「私は英語が苦手ですが」と始める方が多いのですが、それも不要と思います。みんなそんなことは気にしていませんので大丈夫。気にしているのは自分に興味のある話題かどうかだけなので、それより画像を載せたり、こんなことがあったとエピソードを書き始めるのがよいと思います。伝わらないことが多いので、そんなときも”I am sorry.”とか言わずに、追加情報をどんどん書いてしまいます。

きゃ〜、英語のことを書いてしまった。ふ〜む。いまブログの公開ボタンを押すのを躊躇しています・・・。

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