
スター・ウォーズのファンにはお馴染み。映画「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」で、洞穴かと思ってミレニアム・ファルコンが穴の中に侵入してみたところ、それは巨大なナメクジの体内で食べられそうになったシーンです。ハン・ソロが何かおかしいと思って、地面を撃ったら、突如として全体が動き出したので気がつきました。「なんのこっちゃ」の方は巨大ナメクジの名前の「エクソゴース」で検索してみてください。
大きな画面で見ることのできる人向けにはこちら。

この天体を知った時はかなり大興奮しました。だってどうみても映画の1シーン。私の同世代の人ならわかってくれますね。やっぱりスター・ウォーズはミレニアム・ファルコンなんですよ。宇宙船といえばピカピカの格好いいものが当たり前の当時、「見た目がボロボロで汚れているけれど、違法改造を重ねてめっちゃ速い宇宙船」が、とてもリアルに感じられて、みんなハン・ソロになりきっていました。
この巨大ナメクジ部分の正式名称はCG4 (Cometary Globule 4)です。Cometaryというのは形が彗星のように伸びているからでしょう。海外では神の手(God’s Hand)とも呼ばれています。チリとガスでできた星がたくさん生まれる場所(star-forming region)でもあります。地球から1,200光年はなれています。
左のミレニアム・ファルコンの方はPGC 21338という名前の銀河で、地球から1億光年以上離れています。全然食べられそうな距離ではないですね。
星が生まれる場所 (star-forming region)
この領域は星が生まれる場所 (star-forming region)です。星の素の大半は水素です。この領域では水素原子の電離ガス(HII)から放出されるHα輝線という光が強く出ています。今回はHαを捉えることのできるフィルターを使っての撮影もしていました。

もう少し拡大してみます。

これはたまりませんね。強く立体感のある天体です。
天体写真では、カラー画像とモノクロのHαの画像を合成するというテクニックをよく使います。しかし今回はやめておきました。Hαが強すぎて大ナメクジが真っ赤になってしまったのです。実際にネットで見ると多くのCG4の写真は真っ赤でした。他の天体なら私も喜んで真っ赤にするところですが、「スター・ウォーズっぽくない」という、しょうもない理由から合成はやめたんです (笑)。
<撮影データ>
巨大ナメクジに食われそうになるミレニアム・ファルコン
2025年1月6日 〜 2025年2月3日
AG Optical 10″ iDK (250mm, F6.7)
Astro-Physics 1100GTO-AE
オフアキシスガイド ASI174MM Mini
ASI6200MM Pro
CHROMA LRGB, Hα Filters
■カラー画像
露出(すべて-10°C冷却, Bin1x1, Gain 100, Offset 50)
L: 300秒x272枚
R: 300秒x93枚
G: 300秒x87枚
B: 300秒x90枚
総露光時間 45時間10分
■モノクロ画像
Hα: 600秒x20枚
露光時間 24時間20分
PixInsightにて画像処理
撮影地: チリ・ウルタド渓谷リモート撮影
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