PixInsightの感想など・・・

PixInsightを使い始めて8ヶ月が経ちました。私なりに軌道に乗って来たと思っています。最近は新たに始めようか考えている方も多いので、参考になればと思い私の感想をまとめてみました。私の使っている画像処理ツールは、PixInsightの他は星景写真でのAdobe Lightroomだけですので、他との比較したレビューは難しく、あくまでも感想を書こうと思います。

PIワークフロー

気に入っているところ

お気に入り1: 再現性が高い

PixInsightは基本的に数値を設定して処理を進めます。CurvesTransformationのように感覚的にカーブを調整するプロセスもありますが、多くは処理をかける強度などを数値設定します。レタッチソフトなどを使っていると「どうやってこれを加工したんだっけ」とわからなくなることがありそうですが、PixInsightでは処理手順と設定した値を覚えておけば、同じ結果を得ることができます。私は何度も同じ素材を加工して試していますが、再現性を得られるのは試行錯誤するときに大変有利です。

お気に入り2: 初心者でもそれなりの画像になる

天体写真を始めて「はじめたばかりにしては」という枕詞がつきますが、撮影した写真にお褒めの言葉をいただいたことが少なからずありました。大人になって褒められるのはあんまりあることではなくて有頂天。実はPixInsightの力は大きいと思っています。決められた手順で処理をすすめれば、ある程度までは技術の巧拙なく一定のクオリティの結果を得られると感じます。

お気に入り3: 進化が速い

数ヶ月のうちにもすごい勢いで機能が増えていきます。これはPixInsightの開発スタイルに理由があります。PixInsightはXIFSという画像の形式と、機能モジュールを開発するためのライブラリをオープンソースとして公開しており、世界中の開発者が自由に利用し、商用、フリーのモジュールを開発できます。またPixInsightのContributorとして登録することで、開発したモジュールはチェックが通れば正式版に採用されます。またスクリプトという簡便なしくみも用意されており、機能を組み合わせて新たな機能を開発できます。世界中の開発者が競って新たな機能を開発しているため、我々ユーザは複雑で高品質な機能を使えることができます。

チャレンジと思うこと

チャレンジ1: どこまでいっても英語

PixInsightのFAQに「開発力を集中させたいので英語以外の言語対応はしない」と記載されています。PCCでエラーがでるなどPixInsightでトラブルがあったときは、基本的にはForumなど英語情報に頼ることになります。やはりこれが一番のハードル。ただ、日本でもPixInsightユーザが増えてきたことで情報も増えるでしょうし、なんといってもTwitter、Facebookなどでの情報交換は強力です。私もトラブルシューティングは嫌いではないので、微力ながら調査のお力にはなりたいと思っています。英語であることは、情報が世界中にあることでもあることなので、なにかあったときの解決策は実は瞬殺で見つかることが多くあります。

チャレンジ2: 特殊な操作

最初は見たことのない操作方法に戸惑いました。▲ボタンなどまったく謎です。ソフトウェアのオブジェクト指向について知識があると「なるほど」とピンと来ますが、それをそのまま操作体系にもっていくのはびっくりしました。でも不思議なものですぐに慣れます。また慣れてしまうとそれぞれがとても便利で「これしかない」という気もしてきます。プロセスの命名規則も難ありで、「やりたいことベース」ではなく「処理方法ベース」の命名が多くあります。そのためHDRMultiscaleTransformのように何のための機能かさっぱりわからないプロセスが多々あります。

チャレンジ3: 数が多くて重複している機能

上述のように開発者が切磋琢磨して機能競争しているので、同じことをするにも選択肢がてんこ盛り。たとえばストレッチにしても、HistgramTransformation, MaskedStretch, ArcsinhStretch, AdaptiveStretch, AutoStretch, AutoHistogram…などなど、使いきれません。目の前に膨大なプロセスを用意されて「ほらどうぞ!」と言われてもなにからスタートしてよいやらわからなくなります。

最後に付き合うコツを・・・

最後に私なりのPixInsightと付き合うコツを書いておきます。

コツ1: 自分のワークフローを作る

処理が多岐にわたり自由度も高いPixInsightですから、処理フローも十人十色。その人のもつ機器や撮影条件によっても適するワークフローは変わってくるのだと思います。私の場合、まず自分のワークフローを確立し、そこから変化させたり追加したりして、進化させていきました。また膨大な処理体系ですので全部知ることは無理。まずひとつ基準を持ちそこから変化させていくと楽になるように思います。

コツ2: 他人のワークフローを参考にする

PixInsightを長年使っている人とコミュニケーションすると、私がビギナーと知っていても「どんなワークフローを採用しているか」とよく聞かれます。その上で、ご自身のワークフローを披露してくれます。それが初心者のものであれ、人のワークフローを聞いてそこからヒントを得ていくのが、長く付き合い進化させていくコツに感じます。

コツ3: 試行錯誤する

PixInsightはパラメータの数値のほんの小さな違いや、オプションの有無で結果が大きく変わります。そこらじゅうに成功の扉や落とし穴が仕掛けられているかのよう。理屈ではなく、パラメーターを少しずつ変えて何度も試すことは重要と思います。私もPreviewやCronを作りまくって試しています。

・・・とまあ、こんな感じです。
ああ、書いてしまった。きっと1年後に読み返したときに赤面することでしょう・・・。

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