昨年末に仕上げた「NGC 6744と広がるIFN」が天文ガイド2022年3月号の一般の部に掲載されました。この作品のポイントは、我々の住む天の川銀河にそっくりという中央のNGC 6744に加えて、まわりに広がるIFN(Integrated Flux Nebra)という分子雲です。ネットの画像でIFNがあることを知り、なんとか表現したいものの、強調すると星が破綻するなど苦戦続き。いったんはIFNを諦めました。あきらめバージョンがこちらです。
今から思うとこのバージョンも悪くありません。最終版と比較するとスッキリとシャープな印象があります。でもちょっと寂しい。
この分子雲の強調方法は、クリスマスイブの夜に夢の中で思いつきました。「サンタさんからのプレゼント〜」とつい書いてしまいたくなる嘘のような本当の話です。明け方近く、起きているか寝ているかわかんないような状態で「こうやればできるなぁ」と思いつき、起きてから試してみたらあっさり成功しました。ブログにまとめていますので、ぜひご覧になってください。
雑誌への投稿
実は昨年の終わり頃、天文ガイドなど雑誌への投稿はやめようと決めていました。一喜一憂するのがしんどくなってきたんですね。入選の裏でたくさん落選をしています。雑誌の発売日にドキドキしながら読者コーナーに自分の写真を探し、掲載されていないことがわかると結構へこみます。それが切ない。私は「たのしい天体観測」です。楽しいことが何より優先されますので、ちょっと具合が悪いのです。
でも出さないと決めるとそれはそれで寂しい。雑誌発売までのドキドキ感や、掲載されたときの嬉しさと、落選したときのガッカリ感。それはそれで、子供みたいで楽しいことに気がつきました。また共同で運営しているチリのメンバーに速報するととっても喜んでくれます。一緒にやっているカルロスとエドアルドの2人分と、なぜか近所のレストランの店主の分とあわせて「3冊をチリに送れ」と言ってきます。一喜一憂もまあ悪くない。もう少しジタバタしてみようと思います。
<撮影データ>
NGC 6744と広がるIFN – Photo by AstroCHL2JPN
2021年8月29日 〜 10月23日
Takahashi FSQ-106N (530mm, F5)
Takahashi EM-200
ASI1600MM Pro
Baader LRGB, Hα Filters
Autoguide – QHY5L-IIM / Baader Vario-Finder 60mm
露出(すべて-20°C冷却, Bin1x1)
L: 300秒x238枚
R: 300秒x73枚
G: 300秒x92枚
B: 300秒x88枚
LRGB合計露出時間 40時間55分
Hα: 1200秒x85枚 (28時間20分)
総露出時間 69時間15分
PixInsightにて画像処理
撮影地: チリ ウルタド渓谷(リモート撮影)