チリに行ってきました

3年半ぶりにチリに行ってきました。現地に9日間。そのほとんどをチリの友人のエドアルドの家で、エドアルドともう一人の友人カルロスと3人で過ごしました。

エドアルドの家はアンデス山中にあります。チリの首都サンティアゴから車で6時間。カルロスの車で途中休憩しながら8時間かけて到着しました。

アンデス山中のエドアルドの家
アンデス山中のエドアルドの家

アンデスの山々に囲まれた夢のような場所です。

裏庭から見えるアンデスの山々
裏庭から見えるアンデスの山々

ここはアタカマ砂漠の中で植物はサボテンばかりですが、エドアルドの家の近くをウルタド川が流れており、このあたりだけ緑が豊富です。

家の近くを流れるウルタド川

エドアルドの家の周辺数キロには人は住んでいませんが、川の周りに人の住む集落がいくつかあり、車で10分ほど走ると小さな街があります。街といっても通り沿いに家がいくつかあるだけです。

ウルタド渓谷の小さな街

3人で一週間の共同生活でした。ご飯はエドアルドもカルロスもとても上手。チリ料理とスペイン料理を堪能しました。

カルロス(右)とエドアルド(左)。料理はカルロス作のパスタのパエリア(フィデウア)
カルロス(右)とエドアルド(左)。料理はカルロス作のパスタのパエリア(フィデウア)

チリの天文家はバーベキューが基本。滞在中に何度も楽しみました。私はバーベキューは5年に1回くらいしかしないんで30年分くらい一気にやった感じです。彼らの作るバーベキューは日本のそれとは別物で、分厚いステーキ肉を数十分かけてじっくり焼きます。最初は脂身部分を火から遠ざけ、焼けてきたらひっくり返しつつ脂身を中心に向けて火に近づけて、それからひっくり返して・・・とめっちゃ大事にケアしながら焼きます。木炭にもこだわりがあるようです。

カルロス「binchotanが一番いいんだよね。手に入らないかな」
私「ふーん・・・bincho・・・って備長炭?。何が良いの?」
カルロス「火が安定して長持ちするんだよ」

と、どっちが日本人かわからない会話をしています。私も肉じゃが、マグロの照り焼き、カレーライスを作りました。

私が作った肉じゃが
私が作った肉じゃが

ワインに酔いながら外に出て空を見上げると、そこには南十字星が輝き、大小マゼラン雲がぽっかり浮かんでいます。マゼラン雲はとても大きく、見た目にも月の数倍の大きさがあります。お約束の上下がひっくり返ったオリオン座も輝いています。また南十字星の横のコールサック (石炭袋)とよぶ暗黒星雲も、はっきり認識できました。

南天の星々
南天の星々

この写真にはオリオン座より南の方。日本から見えない天体が写っています。

北天でもお馴染みの天体と、南天の天体
北天でもお馴染みの天体と、南天の天体

日本でも比較的低い空にあるオリオン座のさらに下の方が見えたことで、南半球にいる実感がわいてきます。日本では高い空に輝くプレアデス星団(すばる)も低い空にいましたが、すぐに沈んでしまいました。

しし座はわからない

なんともなしに空を見上げていると、綺麗な星団が目に入りました。なんだろうと思って調べて見ると、なんといつも見慣れたプレセペ星団。ということは、しし座が近くにいるはず。

「あ、いた!あれれ、全然、しし座に気が付かなかった」

しし座は目立つ形をしています。日本では、しし座が空にあると0.2秒で気がつきます。しかしひっくり返っていると、しし座をまったく認識ができませんでした。これは数日たっても変わらず、最後まで逆さまから覗き込むようにしてやっとわかるレベルでした。おうし座のVサインはすぐにわかります。ふたご座もわかります。かに座は気がつきそうなものでしたが、しし座がわからないと、かに座もわからない。ちなみに、おとめ座は日本にいても私は認識できません。チリでもやっぱり分かりませんでした。

そんな感じで初日は終わり、明日はいよいよ観測所です。

いざ観測所へ出発!

エドアルドの家からさらに山を数百メートル登るとObstechの観測所があります。興奮しながら出発しました。アタカマ砂漠の中にあるこの地域。走ると砂埃が舞います。

観測所へ向かう道
観測所へ向かう道

中にはちょっとおっかない道もあります。

落ちそうな道 (動画)

帰りは夜中なのでさらに落ちそうで怖いはずですが、帰り道ほとんど寝てて気が付かずです。

ひたすら進むと、遠くに観測所が見えてきました。観測所は山頂にありますので風が舞わずに抜けるので、とてもシーイングが良いのが特徴です。

観測所が山頂に見えてきたところで記念撮影

到着です。

Obstech観測所
Obstech観測所

中に入って見ると、Planewaveだらけ。まるでショールームです。

Planewaveがいっぱい
Planewaveがいっぱい

一番奥にあるのは、口径1mのPlanewaveですが、大きさを感じさせません。

中央奥は口径1000mmのPlanewave
中央奥は口径1000mmのPlanewave

遠くには、セロトロロ (Cerro Tololo)、ベラルービン (Vera Rubin)、ジェミニ (Gemini)、ソアー (SOAR)といった世界的に有名な天文台が見えています。

天文台が見える
天文台が見える

私のチームAstroCHL2JPNは、9号棟の設営を担当しています。

AstriCHL2JPNが設営を担当する9号棟
AstriCHL2JPNが設営を担当する9号棟

9号棟は他の建物と趣が異なり、タカハシやビクセンの鏡筒が並びます。ちょっとホッとします。

タカハシ、ビクセンが立ち並ぶ
タカハシ、ビクセンが立ち並ぶ

タカハシはチリでも人気で、日本人以外にも多くのタカハシユーザがいます。CCA-250やFSQ-106EDなどはいくつかありました。こちらの写真は私が長年お借りしているのもタカハシFSQ-106Nです。巨大なマウントParamount MEのうえに載っています。

私がお借りしているタカハシFSQ-106N

このFSQ-106Nはエドアルドの持ち物で、以前にマウントにぶつけそうになったとき「孫にあげる宝物だぞー。」って怒られました😅

こちらは星沼会のビクセン R200SSです。

星沼会のビクセン R200SS
星沼会のビクセン R200SS

R200SSの隣には、私も日本で使っているビクセン R130Sfが鎮座しています。マウントはAstro-PhysicsのMach1。おそらく世界で最も贅沢なR130Sfですね。

ビクセン兄弟

ビクセンの2つの鏡筒はともにAstro-Physicsのマウントに載せてVIP待遇です。

今回の目的の一つは、星沼会のR200SSの接眼部の強化でした。日本で作成した補強プレートを取り付けています。

補強プレートの取り付け
補強プレートの取り付け

だんだん日が沈んできました。

日が沈んできた
日が沈んできた

日本から利用する9号棟も、静かに撮影開始を待ちます。

撮影を待つ鏡筒たち
撮影を待つ鏡筒たち

滞在中はこんな夕日が毎日みられました。

紫色に染まるチリの空
紫色に染まるチリの空

撮影が始まると、鏡筒の向きをみて星沼会メンバーに「いまオリオン座の方向ねらってるでしょ」なんて連絡を取り合いました。日本からコントロールしている鏡筒が、目の前で動くのは不思議な感覚でした。

新機器投入

今回のチリ訪問は、運営が始まった観測所の9号棟の様子をみにいくことでしたが、実はもうひとつ目的がありました。私が今回新たに投入した機器の設置です。

新機器投入
新機器投入

いまファーストライトを終えて撮影をスタートしたところです。こちらについては、また次回。

あっという間の1週間でした。帰国前に最後の一枚をパチリ。

かなり寂しい帰る日
かなり寂しい帰る日

もう、チリに戻りたくなっています。

<撮影データ>
2023年3月14日2時14分13秒〜
Fujinon XF8-16mmF2.8 R LM WR (f8mm F2.8)
Fujifilm X-T30 (ISO 3200)
露出50秒
iOptron赤道儀にて追尾
Adobe Photoshopにて画像処理

撮影地: チリ・ウルタド渓谷

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