だいこもんとツインで撮るM38とIC417

星沼会のビューティペアと呼ばれているだいこもんと私は、いま偶然にも似た機材を使っています。口径15cmのニュートン式反射望遠鏡です。だいこもんのは、サイトロンジャパンのコンテストの賞金による栄光のSHARPSTAR 15028HNT。私はお借りしているZWO 15CNF4。焦点距離も、だいこもんは420mm。私は600mmにレデューサーをつけて438mm。ほぼ同じです。

私にとって本格的なニュートン式反射は今回が初めて。ニュートンって人はつくづくすごいですよね。400年近く前に作られた望遠鏡の原理がいまも現役。光の入り口である望遠鏡の開口部には斜鏡がど〜んとあります。あんなものを目の前につけて写り込まないなんて直感的には想像もつかない・・・話がそれました。似たような機材があるならば、やることはたったひとつ。合作です。

レナード彗星を撮影した茨城県への遠征のときに、散開星団のM38と淡い星雲IC417を入れた構図を撮影しました。この構図はだいこもんの考案で、私がそれに乗っかった形です。カメラも同じにすべく、ぐらすのすちさんからASI2600MC Proをお借りしました。前回のアイリス星雲まゆ星雲の合作ではいろんな光学系を混ぜてみましたが、今回はほぼ同じ条件。ツインです。

まずは各々が仕上げる

最初に、それぞれが撮影した画像を処理しました。先入観が入らないように、お互い完成してから披露しました。

左がだいこもん。右が私。全然違います。私は散開星団のM38と星雲のIC417にフォーカスがあたるように処理しました。実は「傑作!」って密かに思っていたのですが、だいこもんの作品と並べると寂しい感じがします。だいこもんのは小さい星まで光らせて全体がキラキラしている。「そっちの方が良いわ」と心が揺らぎます。こういうのを競作っていうんでしょうか。学ぶこと多し競作!

次はいよいよコラボ。合作です。

混ぜてから各々が仕上げる

まずお互いの撮影したすべての写真を一緒くたににインテグレーションして画像処理の元となるデータを作ります。その後、だいこもんと私が各々が画像処理し、いったん仕上げます。

8本の光条がまぶしい!この時点で、やはりテイストの異なる画像になりました。

足して2で割る

最後に画像を足して2で割りました。画像を足すのは私の担当。対等合併はあとから権利の主張がしにくいので、だいこもんには内緒で51%と49%の比率としています。この作品が後世で有名となり両家の子孫同士が醜い権利争いをしたときにも、有利に働くことでしょう(ホントは50%ずつの比率です。ねんのためw)。処理の詳細はだいこもんが記事にしてくれました

結果はこちら。

ツインで撮るM38とIC417
ツインで撮るM38とIC417

めっちゃ気に入っています。「カレーのルーは混ぜろ」効果でしょう。明らかに良くなっていると思います。画面のすみずみまで輝きをもたせたかっただいこもん(たぶんそういうこと)と、二つの天体にフォーカスを与えたかった私の良いとこどりになっていると思います。今回は各々が撮影した画像を混ぜ、その後に各々が画像処理をした結果を混ぜました。一人でやるとこだわりポイントばかりに目がいき、その部分が誇張されるのが、混ぜることでバランスが取れるのかなって考えています。

合作はたのしいなぁ。

ちなみに、この混ぜるという手法。最近は自分一人でもヘビロテしています。派手に目立たせたそのままではお恥ずかしい強調画像と、コンサバな画像を混ぜたりしています。

<撮影データ>
■だいこもん撮影分
2021年12月5日
Sharpstar 15028HNT (口径150mm F2.8・・・って機種名どおり)
ASI2600MCPro
  露出(0°C冷却, Bin1x1, gain 100)
  120秒x108枚
Kenko SE2 PHD2でガイド
PixInsightおよびPhotoshopにてだいこもんが画像処理

■Niwa撮影分
2021年12月5日
ZWO-CN15F4 (口径150mm F4)
Ackermann 2インチコマコレクター・レデューサー×0.73
Astro-Physics Mach1
ASI2600MCPro
  露出(-10°C冷却, Bin1x1, Offset 15, gain 100)
  120秒x102枚
Astro-Physics Mach1
QHY5L-IIM/ミニ・ガイドスコープ PHD2でガイド
PixInsightにて丹羽が画像処理

■ツインで撮るM38とIC417
上記210枚をPixInsightでIntegration
それぞれの画像処理結果を50%ずつブレンド

撮影地: 茨城県高萩市

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