今年の抱負は「アート」 青と赤! 反射星雲vdb 14, vdB 15と輝線星雲Sh2-202。

青い反射星雲 vdB14(左上)とvdB 15(左下)、赤いSh2-202

あけましておめでとうございます。今年も「たのしい天体観測」をよろしくお願いします。

新年の一作品目は、おとそ気分の2023年1月2日に、山梨の深城ダムで撮影した青い反射星雲vdB 14とvdB 15、赤い輝線星雲Sh2-202です。有名なハート星雲と胎児星雲コンビのすぐ東側にいます。ハート星雲と胎児星雲のように名前はつけてもらっておらず、vdBとかSh2とかカタログ番号で呼ばれちゃっている、ちょっとマイナーな皆さんです。赤と青のコントラストが綺麗。また右上の青い散開星団が赤バックにちょっとしたアクセサリになりました。

この天体は昨年の11月に撮影していました。しかし左の青い部分は写ったものの赤い部分がまったく写っていなかったので、今回はHαフィルターという特殊なフィルターを使って赤い部分だけ撮り合成しています。撮影対象が変わらない天体写真なので、撮り増しという技が使えるのです。またこのフィルターを使うと1月2日のような月夜でも撮影ができます。この夜は星沼会の友人の小林さんも様子を見にきてくれました。

青い方は反射星雲で近くの星からの光が散乱して青く光っています。空が青いのと同じ原理です。赤い輝星星雲は電離水素のエネルギーにより自ら赤く光っています。宇宙には水素原子が一番多いので、たいがいの天体写真が赤いのはその理由です。この二つの仕組みによる青と赤のコントラストは三裂星雲にも見られます。

さて、今回は新年1回目の記事です。ここらで今年の抱負を!

今年の抱負は「アート」

今年は「天体写真のアート性を引き出す」ことを目標に活動したいと考えています。

変わらない対象を撮影する天体写真ですが「心を動かされる写真」があります。それは技術的な品質の巧拙ではなく、写真に付随する「何か」があるようです。

昨年の2022年は「すごいの民主化」をテーマに、画像処理ソフトのPixInsightの解説本の執筆や有料セミナーの実施、チリの観測所の一般募集などをやってきました。またYouTubeも少しずつ形になってきた気がします。撮影や画像処理の技術的な面では方向性が見えてきました。アートといっても技術は大切です。技術面は今年も進化させ、わかったことはシェアしていきたいと思います。それに加えて「何か」をやりたいのです。

私は絵画が好きで美術館めぐりをよくしています。また音楽を聴きに年間10回以上コンサートにいきますし、読書も好きです。しかし、それらは全部「消費する側」でした。この年になって人生で初めて「消費される」クリエイター側に立つことのできた喜びを強く感じています。

どうやって天体写真からアートを引き出すのか。写真自体にストーリーをもたせるのか、写真と語りをセットにするのか、写真をモチーフに新たな作品を仕上げるのか。いま模索をしています。

<撮影データ>
2022年11月26日 21時14分55秒 〜 11月27日4時54分38秒
2023年1月2日 19時44分2秒 〜 1月3日2時28分10秒

FSQ-106ED (口径106mm F5)
Astro-Physics Mach1
QHY5L-IIM/ミニ・ガイドスコープ PHD2でガイド
ASI6200MM Pro
CHROMA LRGB Filters
CHROMA Hα 3nm Filter
露出(-10°C冷却, Bin1x1, Offset 50, gain 0)
 L: 300秒x42枚
 R: 300秒x14枚
 G: 300秒x14枚
 B: 300秒x14枚
 Hα: 120秒x13枚、300秒x25枚
 合計露出時間 9時間31分
PixInsightにて画像処理

撮影地: 大月市七保町

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