愛しのビクセン R130Sf 〜 天文ガイド10月号 ビギナーの部に入選

天文ガイド2020年10月号のビギナーの部に、春に撮影したM101回転花火銀河が掲載されました。ポータブル赤道儀のSWAT-310に13cmの反射望遠鏡を搭載して撮影したもので、絶対にベテランはやらないであろう初心者ならではの無鉄砲さが、ビギナーコーナーにあっていたのかもしれません。

もとはといえば星景写真を始めて半年強たった昨年の12月に、ステップアップをはかるためにポータブル赤道儀を検討したことから始まります。広角レンズには贅沢でしたが、今後の望遠レンズを使用することも視野にいれSWAT-310V-specを昨年12月に購入。なんどか撮影しましたがSWATに広角レンズは物足りなく望遠レンズが欲しくなりました。ふとみると、そこには長年使ってきた13cm反射望遠鏡ビクセンR130Sfが・・・

 「これ載るんじゃね・・」

SWAT-310V-specの最大搭載重量は10kg。R130Sfは4kg。ユニテックのホームページでオプションを調べてウェイトなどもろもろ足すと9kg弱。お〜、ギリギリオッケー。この時点ではモーメント荷重なんて言葉は知る由もありません。購入したパーツを組み上げたのがこちら。

ビクセンR130SfとSWAT-310の勇姿
ビクセンR130SfとSWAT-310V-specの勇姿
ソファは4匹の猫にやられました。

 「おお、ドイツ式赤道儀だ!」

三脚がカメラ用なのが泣かせます。天体望遠鏡のシステムは三脚と赤道儀をがっちりさせるのが基本ですが、まさに逆張り。早速、実践投入してみました。そのときはなんとも思っていませんでしたが、いまから思うと全体がゆ〜らゆらしながら綱渡りのような撮影だったかもしれません。デビュー作がマルカリアンチェーンM51子持ち銀河。今回の天文ガイドに載ったM101回転花火銀河は2回目です。

ビクセンR130Sfは光軸調整機構がなく、フィルターやコマコレクターなどオプションパーツをつけることのできない入門用の反射望遠鏡ですが、想像していたよりうまく撮影できました。解像度も高い気がします。とくに最初のM51がカメラの液晶ディスプレイに写ったときは感動的。喜び勇んで飛び上がり、せっかくあわせた極軸をずらしてしまいました。

ビクセンR130Sfのこと

この望遠鏡は10年ほどまえ、私の娘が小学生のときに一緒に土星をみようと思い購入したものです。ポルタ経緯台が扱いやすく子供でもすぐに使えるようになったのを覚えています。最初に見たのがプレアデス星団。娘は「すご〜い」とぴょんぴょん跳ねていました。我が家は親子で飛ぶ癖があります。

月、土星、木星、オリオン座大星雲ときて、やはりアンドロメダ銀河がみたくなり横浜自宅近くで、大捜索を敢行しました。肉眼では見えないので星図を頼りに探すこと2時間。娘が「あれ?これじゃない」というのでファインダーをのぞいてみると、黒い背景にぼんやり糸くずのようなものが見えます。最初はレンズのゴミかと思い少し鏡筒を移動させると、星と共にずれていきます。場所的にもアンドロメダ座の方角。アンドロメダ銀河で間違いないでしょう。その日は我が家に「アンドロメダ銀河発見!」の号外が出ました。

その後もベランダや駐車場、ちょっと足を運んで城ヶ島公園などに持っていくなどR130Sfにとって大活躍の10年でした。娘は結局、大学の理学部に進学し天文や地学の研究を始めています。高校生くらいまでは宇宙のことなどを私が教えていたのですが、最近は完全においてけぼり。難しくてわからなくなりました。よく息子と殴り合いの喧嘩をして息子が勝った時、父親は嬉しいような切ないような気分を味わう、というような話がありますが、娘でそれを味わうとは思いませんでした。

私といえば、このビクセンでの撮影を今年の2月からスタートをしたのを期に、どっぷり星生活にハマっています。先日、職場で「ワークライフバランス」について聞かれたのですが回答に窮しました。バランスくずれてます。ライフ中心というか常に頭の中は星のことばかり。

最近になってBORG 72FLを購入しました。R130Sfはもとのポルタ経緯台に戻り、撮影中の待ち時間に観望を楽しんでいます。R130Sfにとっても元の平和な日々に戻りました。

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